第1波を何とか乗り越えた私に、次なる波が……息子がおたふく風邪にかかってしまったのです。幼稚園への送り迎えは不要となりましたが、母親が居ない状態で、通い始めたばかりの幼稚園をしばらく休まなくてはならなくなった息子。そんな彼が不憫で、毎晩帰って来ると一緒の布団で添い寝をしていたのです……。

数日すると、心なしか私の耳下腺が腫れて来たのです。私自身は幼少の頃、おたふくにかかっています。ホッカムリのように白い布を巻いて耳下腺を冷やしている写真が残っていたので免疫は万全! のはずでしたが……病院に行くと、「学校に出勤してはいけない」とドクターストップ!

どうやら、子どもの頃に罹患していても万全とは言えないらしいのです。無理が祟って免疫力が低下し、感染してしまうことはあるそうで、自らの状況に納得しました。

遂に第3波は、主夫である私自身の身の上に……この状況を目の当たりにした昭和一桁の父は、遂に観念して川崎に救助要請の電話を掛け、母がパートを休んでやってくることになったのです。

男3代の合宿最後の朝、先にかかった息子は回復して登園の許可が出ていたのですが、私はまだ自宅療養中で幼稚園に送って行ける状態ではありませんでした。父と2人での登園にはトラウマがあり、“やはり、休ませるしかないか……”と考えましたが、そこで私は、息子の背中を押す一芝居を打ったのです。

枕元に息子を呼んで、まるで遺言でも告げるように辛そうな口調で……。

「父ちゃんは熱で起き上がれない! 父ちゃんに代わってじいちゃんを案内して幼稚園に行ってくれるか……」

これを聞くと息子は真剣な表情で、「わかった。父ちゃん! ゆっくり寝ていて! じいちゃんはちゃんと案内するから!」と即答。しばらくすると、「いってきま~す! ちゃんと寝てるんだよ~!」と大きな声を残して玄関のドアが閉まりました。

“昼には母が到着する!”

私は布団の中でニンマリすると、洗濯もサボって久し振りの朝寝を満喫したのです。

“自分がやらねば……”と納得できる状況が、子どもを成長させるのです。