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エッセイ
『59才 失くした物と得た物』
【新連載】
有村 月

結婚してから35年、「愛」はなくとも「情」は生まれる

ダンナが死んだ―まさかの現実。自覚はなかったが、この時から私の「おひとりさま」は始まろうとしていたようだ。たしかにダンナは肝臓の数値が悪いと1ヵ月半入院したものの退院、体力も少しずつ戻りはじめ還暦祝の1泊旅行もし、そのたった1週間後にはこの世からいなくなるなんて、頭の中のすみっこにさえなかった事。よくいう野球の九回裏2アウトからの逆転満塁ホームラン的な。その1年半前、最愛の母が「くも膜下出血」で…

人気小説連載記事

小説
『野球の子』
【第5回】
大藤 崇

父と僕を捨て、好きな男と出て行ってしまった母。「帰ってきてほしい」と伝えたくて…

僕は高校に入学した。入学と同時に、野球部に入部、甲子園大会で五連覇を達成した。ついでに国体も神宮大会も優勝。その年のドラフトでビッグ・キャッツから一位指名を受けて、プロ野球選手になった。あらゆるタイトルを独り占めし、ビッグ・キャッツを何度も日本一にした。そして、海を渡り、ニューヨーカーズに入団、世界一となった。というのは真っ赤な嘘で、本当なのは高校に入学した、ということだけだ。中学生まであんなに…

ランキング

  1. 小説
    『赤い大河』
    【第4回】
    塚本 正巳
    1位 1

    妊娠を報告した後、逃げるように家を出てしまった彼。意を決して連絡してみると…

    翌日の午後になっても連絡すらなく、時が止まったような室内には寒さも空腹も存在しなかった。意を決して携帯電話を手に取ると、両手が小刻みに震え始めた。祈るような気持ちで発信ボタンを押す。電話はすぐに繋が…
  2. エッセイ
    『わが子を不登校・引きこもりにしないための十ヵ条』
    【第17回】
    村山 和世
    2位 2

    「働く姿を見せれば子は育つ!?」という大いなる勘違い!子供を手荷物のように預ける母親

    「あきらめグセ」→「低学力」→「不登校」という道筋をたどってしまった例について、次に、C子さんの例を記していくことにする。C子さんが、お母さんに連れられて私のところに来たのは、彼女が小学四年生の時だ…
  3. 小説
    『恋愛配達』
    【第14回】
    氷満 圭一郎
    3位 3

    覗き込むような上目遣いでドアから顔を出し、「あら、いらっしゃい」と僕を迎え入れた

    ぼくの年末の仕事のローテーションは、午前中は宅配、午後は酒屋の本業、夕方からまた宅配となっている。昼間不在だった家や夜間指定の荷物を届けて回るために、配達は夜八時過ぎまで及ぶこともある。午前中の配達…
  4. 小説
    『氷上の蠟燭』
    【第8回】
    安達 信
    4位 4

    「イタ、イタタタタ……。先生、痛くて仕方ありません」と激痛をこらえながら…

    瑠璃は二人の話が聞こえない振りをして、「なんか二人で、楽しそうにどうしたの……。晩ご飯の用意できたから、食べましょう」と誘った。食卓には、かき揚げ、天麩羅に加え、かまぼこ、バイ貝の煮つけ、イカの黒作…
  5. 小説
    『いつか海の見える街へ』
    【第11回】
    須賀 渚
    5位 5

    店が潰れるという噂に足を運ぶと「抱いて」と柔らかい体が絡んできて…

    日焼けした顔はしわが深くなった気もするが、変わっていない。冷やかすように孝介を眺めて、笑いながら言った。「遠くから見つけたんだけどさ、声かけにくかったよ。どうすべえって。すっかり都会もんになっちまっ…

新着記事

  1. 健康・暮らし・子育て
    『夜間頻尿の正体』
    【第5回】
    都田 慶一
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    80代以上は夜間頻尿の回数を要チェック!3~5回は危険信号!

    このように、夜間頻尿の状況を診察室で俯瞰してみますと、夜間排尿回数は、短期的には活動水準の低下、長期的には老化の進行を反映するものと思われます。なぜそうなるかは、高齢者の生体機能の仕組みを見ていけば…
  2. 俳句・短歌
    『夢は枯野をかけめぐる 風羅坊・松尾芭蕉』
    【第5回】
    山城 利躬
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    師から芭蕉への言葉…励ましと同時に「修行の根本は心を磨くことのみ」という本音

    芭蕉の生前は比類のない誠実さで、物心両面で芭蕉を支え、芭蕉の死後も、特に関西方面の指導的役割を果たした。死の床の芭蕉より「おくのほそ道」を預かり、後世に遺した。また師の遺訓を「去来抄」として、世に伝…
  3. 小説
    『野球の子』
    【第5回】
    大藤 崇
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    父と僕を捨て、好きな男と出て行ってしまった母。「帰ってきてほしい」と伝えたくて…

    僕は高校に入学した。入学と同時に、野球部に入部、甲子園大会で五連覇を達成した。ついでに国体も神宮大会も優勝。その年のドラフトでビッグ・キャッツから一位指名を受けて、プロ野球選手になった。あらゆるタイ…
  4. エッセイ
    『貧しさは人生の花』
    【第14回】
    伊藤 フサ子
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    父が56歳で亡くなった…。先生と友達が来てくれてしばらく大声で泣き続けてしまった

    兄の言う通り父は、家が一番貧しい最中に息を引き取ったのです。そんな父を思うと、とてもふびんでした。しかし兄は、充分に親孝行をしていたと思いました。父にとって兄は、誇りであり自慢の息子でした。記憶があ…
  5. 実用
    『医学の道』
    【第15回】
    玉木 長良
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    医療技術がいかに進歩しようとも、決して変わることのない大切な点とは

    大学専門学科になると実習などで忙しくなります。それまでの教養課程の限られた時間に、いろいろな経験を積んでください。そして将来社会人として、とりわけ病めるいろいろな人々への思いやりのある、魅力的な人格…

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