ステージ3 「面白い」と肩を並べる「わかりやすい」

ステージ3で考えること

ゲーム制作の現場で飛び交うことが多い、重要なキーワードが二つあります。一つは何度も出てきている「面白い」ですが、もう一つは「わかりやすい」です。

「やってほしい」ことが整理され、興味を持ってもらえたら、次は実際に手に取ってもらう、やってもらう段階に入ります。

そのために、この「わかりやすい」を大いに活用する必要があります。「面白い」は狙うことが難しいですが、「わかりやすい」のほうは狙った分だけ効果が出てきます。

親御さんが「やってほしい」○○が決まってきたところで、実際にお子さんに取り組んでもらうため、ゲーム制作の指針でいうところの「手に取ってもらう」を目指します。これまで親御さんがやってこられた提案や提示に比べると、かなり遠まわりをしているように感じるかもしれませんが、このステップや準備が重要になります。


ゲームづくりでも過程は大事にしていて、この準備がおろそかになると肝心の「やり続ける」には届かないと考えています。楽することも手を抜くことも可能なのですが、子育てと同じように必ず後で問題になって返ってきます。ただし、逆を言えば考えることや仕掛けることが多くなるほど簡単には「手詰まり」にならないとも考えられます。

このステージでは、「面白い」と並んでゲーム制作で飛び交う重要なキーワード「わかりやすい」について考えます。ゲーム制作の指針に照らし合わせると、「面白い」は「夢中になる」に、「わかりやすい」は「一目見て伝わる」につながります。では、なぜ「わかりやすい」が大事なのでしょうか?

例えば、小説よりも漫画のほうが手に取りやすいと感じている人は多いと思います。小説で十分面白いのに、わざわざ漫画にするケースもあります。これは小説と漫画、どちらが優れているということではなく、どちらが「わかりやすい」と感じるかという話です。

絵で見て視覚的に飛び込んでくる以上、漫画のほうが「わかりやすい」では有利です。1冊や1ページで得られる情報量はおそらく小説のほうが優れていると思われますが、その良さを伝えることはなかなか難しいです。

ゲームもまた、専用となる家庭用ゲーム機と手軽にできるスマートフォンとで「わかりやすい」という点で同じような差が生まれてきています。これも、どちらが優れているのかという話ではありません。

ただ、せっかく中身が優れていて自信があっても、手に取られるのを待っているだけでは、より「わかりやすい」と思われるものに興味を取られたままになります。「やってもらう」ことは「わかりやすい」を意識しないと差がつく一方です。

特にゲームの場合は「やってもらう」面倒があることを熟知しているので、最後まで遊んでもらうためにも、「わかりやすい」は常に意識します。例を挙げてみます。

ゲームでの「わかりやすい」例

「ひのきのぼう」

超有名ゲーム、ドラゴンクエストで最初の武器で有名な、「ひのきのぼう」。決定の経緯は以下だったそうです。

  1.  最初に使う武器と言えば、棒だろう
  2. 武器となる棒と言えば木刀、普通は樫(かし)の木
  3. 「かしのぼう」では、お菓子の棒に思われる
  4. 樫に代わる素材、檜(ひのき)は家具とかに使われる素材
  5. 「ひのきのぼう」は読みやすいし、 最初の武器として「わかりやすい」

素材として不適切としても、音の響きから「わかりやすい」を優先されている。

こういった取り組みも「わかりやすい」の一つですが、そもそもゲーム内では、「わかりやすい」を重視する工夫として「チュートリアル」があります。

一般的な言葉の意味としては「少人数に集中的に教えること」を指しますが、ここでは、「ゲーム開始から序盤にかけて、少しずつ覚えてほしいことを提示していき、実際に操作して覚えてもらう仕組み」のことを言います。

ただ、この良かれと思ってつくる「チュートリアル」でさえ、進めやすくしたつもりでも出すタイミングや内容や量によっては、「面倒」「うっとおしい」「邪魔」と思われてしまうこともしばしばです。

「わかりやすい」を仕掛けるポイントは、わかっていないこと・わからないであろうことを的確に押さえる点にあります。知らないことを正しく教えてもらえれば「正義」になりますが、知っていることをわざわざ教えられたり、知りたいことがわからないまま終わってしまうと一転して「悪」に変わることになります。

ただし、ゲームの続編が売れやすいのは(映画なども同様)、前回「面白い」と思った内容をある程度把握しているので、次の内容も把握しやすい=「わかりやすい」ためだとも考えられます。このことからも「わかりやすい」は配慮や工夫した分、効果を見込むことができます。「面白い」よりも結果が出やすいところではありますので、ステージ3で説明していきます。

※本記事は、2020年4月刊行の書籍『ゲームは子育てを助けられる ゲーム制作から考える子育て攻略本』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。