ステージ3 「面白い」と肩を並べる「わかりやすい」

3-1 「シンプル」かつ「具体的」であること

ではまず、「シンプル」にするには、どうすべきか考えましょう。

すでに話した例でもありますが、簡単に考えれば「短く」「端的に」すれば良さそうです。ゲームをつくるときの企画を提案する書面でも1枚程度で十分」とされています。企画のポイントを絞って短く伝えることが、つくるにあたっても伝わりやすく最も効果的に機能するためです。これが「わかりやすい」につながります。

当然、ゲーム制作だけではなくゲーム内でも同様に「シンプル」は重要です。面白くしようとして担当者があれもこれも盛り込んでしまうと、本当に遊んでほしいところがぼやけたり、考えていた面白さに届かないままプレイに疲れてしまうケースがよくあります。と考えれば、親御さんから向けられる言葉も内容が正しく、指摘が鋭かったとしても、あれもこれも並べてしまえば聞いているお子さんは疲弊します。

親御さんは話しきったことで安心してしまうかもしれませんが、肝心の内容が届かないまま終わってしまいます。「わかりやすい」につなげるためにも、言いたいことを並べることは我慢して、伝えたい箇所を「シンプル」にしてみると聞く側の反応も変わりそうです。

次に「具体的」にするには、どうすべきか考えます。できていない例を挙げます。

ゲーム制作であった「具体的」でなかった例

ゲームの調整指示

「ゲーム中に置いた敵のバランスが良くない」との報告を受け、
担当者が敵の移動する「スピード」を変えようと考えた。
実装しているプログラマーの元へ向かい、敵を画面に出して見ながら
「速い」「遅い」と言い、何度も変えてもらうことで調整を進めた──。

さて、どこが「具体的」ではないのでしょうか?

「スピード」を直しているのだから「具体的」であったように思われるかもしれませんが、肝心のどのくらいおかしいのか? が「具体的」ではないのです。修正する値が曖昧なので、何度もやり直すことになってします。

例えば、「移動スピードを半分または倍にして」と指示するか、敵の「スピード」を数値化してもらい調整指示を数字で説明すれば「具体的」になります。そもそも、「バランスが良くない」という報告も「具体的」ではないのですが。

やりとりが簡潔に進んで見えると「シンプル」が効いているようにも感じますが、「短く」説明されて「シンプルだったとしても、中身が具体的でないとわかりやすいとはなりません。例にあったケースでも双方で話がつながれば良さそうですが、やりとりが面倒になると「シンプル」でなくなるので、手戻りや行き違いが多くなると再び手詰まりになる可能性が高くなります。

逆に、「具体的であっても、シンプルでなければ長くなるだけでわかりやすいとはなりません。このことから「シンプル」かつ「具体的」とすれば、行き違いや混乱がなくなるように考えられます。「or(もしくは)」ではなく、「and(かつ)」です。

なかには聡明なお子さんもいると思われますので、「やってほしい」ことが「わかりやすい」とはならなくとも、わからないことを聞いてくれたり、わかるまでやりとりを続けてくれて親御さんが助かるケースもありそうです。

ですが、その誠意に甘えることを前提とせず、親御さんのほうでコントロールすることを意識されたほうが、確実に先へ進めることができます。そもそもお子さんのパワーは、「やってほしい」○○そのものに余すことなく使ってもらうほうが有意義と考えますので、「わかりやすい」は意識することは大事です。

ポイントまとめ

「わかりやすい」は「面白い」と並ぶ大事なキーワードです。
「わかりやすい」を押さえるためには、
「シンプル」かつ「具体的」であることが重要です。

そのどちらかだけでは、
「わかりやすい」から離れてしまう可能性がありますので、
「シンプル」と「具体的」どちらも意識することで、
意思の疎通で無駄なエネルギーを使わずに、「やってほしい」ことそのものに集中させていきましょう。

※本記事は、2020年4月刊行の書籍『ゲームは子育てを助けられる ゲーム制作から考える子育て攻略本』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。