ステージ2 「面白そう」から仕掛けてみる

2-3 「共感」から「面白そう」へ

体験を例に出せば、英語が飛び交う仕事をする親御さんが、お子さんに「やってほしい」○○を「英語を話せるようになる」だとどうでしょう?

その場合、「国際社会にはグローバルな感覚を云々」とか「外国語を通して世界の文化を知る云々」といった一般的な良さを語るよりも、親御さん自身が体験した記憶や独自の感性で得られた情報を伝えるほうが「共感」を得られやすく、「面白そう」に聞こえると思います。

では、親御さん自身が体験しなかったことをお子さんに「やってほしい」○○にしたい場合で、「共感」させるにはどうするか? 無理? そんなことはありません。

「知らない」状態そのものを、ありのまま「共感」してもらえればいいと考えます。「知っていた」ことを教えてあげられるなら、その逆の「知らない」も教えられます。親御さんの「やってほしい」〇〇が、気の利いた言葉でまとまっていなかったとしても、「コンセプト」に行きつくまでの経緯や体験を、そのまま説明してみれば「面白そう」につながるきっかけになります。

親御さんの経験の有無や持たれているイメージで、お子さんの挑戦の枠を狭めてしまうことはもったいないです。

いまの時代はネット検索で「やってほしい」ことにつながるキーワードを調べてみれば、ヒントになる情報はたくさん出てくると思います。大事なことは受けた情報をそのままお子さんに流すのではなく、調べた経緯や受けた感覚を親御さんの体感として、合わせて伝えるべきだと考えます。

ゲームでも、制作者の知識や経験が乏しいことを体感させたいケースは多くあります。独自の世界やルールを構成することも多いので、内容的にほとんどが「経験なし」に該当するかもしれません。その場合、ゲーム制作では現実の身近にあるもので組み上げることでカバーします。

例えば、ゲーム中でトゲの罠とかご褒美のお金などをよく見かけると思いますが、これらは「トゲ=当たったら痛い」や「お金=取ったら得」を日常でもよく知っているため、一目で「共感」できるという理由から使われています。

また、シリーズものであれば過去作品に出ていた要素を引用して、新作に組み込むこともあります。そんな場合でも、そのままコピーして使うことはありません。先の例のように「触れたらダメージだとわかりやすい」から「トゲ」にしたなど、「遊び」の原理や機能を理解してから使用するようにしています。

原理や機能の理解とは、なぜこうなったのか? 何ができて何ができないのか? などを、「どういう理由でつくられたのか」から理解するということです。話がややこしく聞こえるかもしれませんので、「トゲ」の話を例にして補足します。

下図を見ていただくとわかりやすいのですが、当たって痛いのは針の先=テッペンだけで、横からさわっても痛くない形状です。つまり、「トゲ」は上から当たればダメージを受けるもので、側面に触れてダメージ受けてしまうと納得がいきません。

[図]トゲが痛いのは先端だけ

そのため「トゲ」=「ダメージを与えるもの」と安易に考えてしまうと、「トゲ」の持つ「機能」の面白さは損なわれますし、「やる」側の納得感は薄れていきます。


「やってほしい」側がしっかり理解し考えることは、「やる」側の「共感」につながっていきます。子育ては育児書を見ておけば万事安心とはならないことは、多かれ少なかれ親御さんなら経験していると思われます。

拾った「言葉」や「手法」をそのまま進めるのではなく、親御さんの理解そのものを自らの体感とし、それとともに「やってほしい」〇〇を提示することで、お子さんの「共感」、そして「面白そう」につながっていくと考えます。

ポイントまとめ

「やってほしい」〇〇をお子さんに確実に届けるためには、親御さんのほうで「やってほしい」と考えた要因を整理し、
理解していく必要があります。

その整理や理解から得られた体感を、ありのまま渡していけば、親御さんが自然と受けた「やってほしい」〇〇の「面白そう」をお子さんは「共感」していくと考えます。

まずは、親御さん自身の経験の有無で枠をつくらず、大きく広い視野で、お子さんの将来を見ていきましょう。

※本記事は、2020年4月刊行の書籍『ゲームは子育てを助けられる ゲーム制作から考える子育て攻略本』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。