唯一の答えは「グローバル・サンシャイン計画」

《1》やっと、太陽光エネルギーの時代がやってきた

太陽光発電の開発

50年待ちに待った太陽光エネルギーの時代がついにやってきました。

21世紀人類社会のエネルギーの「起死回生」の一手があるとしたら、それはこの太陽光発電です。太陽光発電の開発は電子技術、とくにその半導体技術の進歩と歩を一にしています。

太陽光発電(太陽電池とも言います)の原理の発見は、フランス人物理学者のアレクサンドル・エドモン・ベクレル(放射線を発見し1903年にノーベル賞を受賞したアンリ・ベクレルの父)が、1839年、2つの白金(Pt)電極を電解液に浸し、片方に光を照射すると電流が生じる現象(ベクレル効果)を見出し、これが現在の太陽電池の発電原理の発見といえます。

しかし、なぜ、光によって電気が生ずるかは長い間、謎でした。この現象は、1905年、アルベルト・アインシュタインの『光の発生と変換に関する一つの発見的な見地について』という論文によってみごとに説明されました。

この論文でアインシュタインは、物質と放射(光)は独立したエネルギーの「量子」の交換のみによって相互に作用するという光量子仮説を提案しました。

アインシュタインは、光は量子または光粒子と呼ばれる小さな粒子から成っていて、秒速30万キロメートルで移動するために目にはみえませんが、図のように、物質(たとえば半導体)に光を照射しますと、光量子(つまり、光)が吸収されます。

図 外部光電効果:金属等に光を照射すると光電子が飛び出す

それが物質内(たとえばシリコン)の電子を飛び出させます。光量子(光粒子)は、エネルギーの一つの形であり、電子も同じであると説明しました。

この仮説でアインシュタインは「光電効果」などのさまざまな現象が説明できることを証明しました。アインシュタインはこの業績によって1921年にノーベル物理学賞を受賞しました。

これは、ちょうど100年前です。光起電力効果(光電効果)の理論がわかってから、それが実用化されるまでには、また、半世紀を要しました。

1948年6月、アメリカのAT&Tベル研究所のウォルター・ブラッテン、ジョン・バーディーン、ウィリアム・ショックレーがトランジスタの発明を発表しました。

その功績により、3人は1956年にノーベル物理学賞を受賞しました。

これが有名な半導体の発明でしたが、ショックレーのトランジスタ開発グループに所属していたジェラルド・ピアソンが、1953年3月、同じベル研のフラーの拡散法を用いて作製したシリコン整流器に光を照射したところ強い光起電力効果を見出しました。

これが最初の光起電力の発見でした。人類が太陽から人工の機器(半導体)を用いて、ほとんど無限の電気を直接得た最初でした。

一般的な太陽電池、すなわち大きなp-n接合ダイオード(フォトダイオード)の原理は専門的になりますので、省略しますが、光があたると電気を発生する半導体と思っていてください。