第一章 小樽 人生の転機は突然に

その夜から熱が上がり、息苦しさが一段と増した。とにかく胸が苦しかった。偶然かどうか父が乾いたタオルで胸を撫でるように擦ってくれたとき、少し呼吸が楽になったような気がした。

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「父さん、ちょっと楽だよ」

「そうか」

父は疲れたせいか十分ほどでその手を休めた。なぜかまた苦しくなったようで、

「父さん、もう一回やって」

「分かった」

と言いながらまた胸を軽く擦り始めてくれた。そのうちに眠りについた。