・細菌

細菌は、バクテリアとも呼ばれています。細菌は、0.2〜10㎛(100万分の1メートル)ほどの大きさの微生物で、動植物に対して病原菌を持ちますが、一方で広く生態系の中にあって物質循環に重要な役割を果たしている菌です。

また、医療分野では抗生物質やワクチン製造などで利用され、免疫の機能や遺伝の機序など、新薬開発や、生物学研究にも幅広く用いられています。医薬関係では、ストレプトマイシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリンなどの抗生物質が発見されています。

加えて、多細胞生物体内部や表面にも多数の細菌が付着ないし生育しており、共生関係が見られます。ただし、健康な生物体の血液中や筋肉、骨格など消化管以外の臓器からは検出されません。消化管では食物分解のプロセスの一部を担っています。食品関係では、チーズや納豆、ヨーグルトといった発酵過程において微生物学的発展以前から用いられてきました。

細菌は、分類学上で「真正細菌」とも呼ばれていて、地球上の生物圏とされているほぼ全ての環境に分布、存在していて、その代謝系は非常に多様です。通常の土壌や湖沼だけでなく、上空8000メートルまでの大気圏、熱水鉱床、水深1万1000メートルの海底、南極の氷床など。人の生育困難な環境にも生育ないし存在が確認されています。

細菌の人への感染は、体内で定着し、細胞分裂で自己増殖しながら人の細胞に侵入、あるいは毒素を出して細胞を傷害します。カビの場合は、人の細胞に定着し、菌糸が成長と分枝によって発育します。

感染する主な病原体としては、ブドウ球菌、大腸菌、サルモネラ菌、コレラ菌、結核菌、破傷風菌などがあります。また主な感染症としては、感染症胃腸炎、O157(腸管出血性大腸菌感染症)、結核、破傷風などがあります。

細菌に対する治療では、細菌の細胞に作用、増殖を抑制する抗菌薬を使用し、細菌の特性に対応する抗生物質や合成抗菌薬が使われます。一方、味噌・醤油・日本酒などの食品は微生物である麴の酵素の働きで作られています。今人気のカマンベールチーズは、白カビ、青カビを発生させています。

ちなみに、一部の微生物(耐熱性芽細胞菌)の芽胞以外、大半の微生物は「低温殺菌」の条件で死滅させることができます。食品製造にとって、有害となりうる微生物の耐熱性(熱死滅条件)を、いくつか挙げておきましょう。なかには、病原性菌状微生物のものもあります。

※本記事は、2018年6月刊行の書籍『EARTH 2050』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。