第2章 HACCPは、今

(4)世界は日本食ブーム

現在、日本食レストランが世界各地で急増しています。その理由として、日本食が健康的で理想的な食生活スタイルを持つということが注目されているからと言われています。

ちなみに、世界に日本食レストランの店舗数は、2006年の農林水産省データでは、アメリカ1万店、その他が1万5千〜2万店で、合計2万5千〜3万店でしたが、2017年10月時点の調査によると、海外の日本食レストランの数が、11万8000店となっていることがわかりました。10年ほどで約4倍に増えています。まさに世界は日本食ブームにあるようです。

加えて、レストランの評価を星印の数で表すことで知られるレストラン・ホテルガイドの「ミシュランガイド」(MichelinGuide)が、2007年に欧米以外で初となる東京版を発行し、世界における日本食ブームが一段と加速しました。しかも、星の数が、2017年の東京版では、三つ星12軒、二つ星54軒、一つ星161軒あり、星の評価からは外れるものの、安くておすすめできる店舗に与えられる印、ビブグルマンが315軒もあります。

さらに、日本でのみ発行されている「ミシュラン・ガイドの特別版」があり、北海道、京都・大阪、奈良、富山・石川、横浜・川崎・湘南、福岡・佐賀など、北海道から九州まで日本全国を網羅する、12冊の「ミシュラン・ガイド」が発行されています。日本の食文化は都市だけでなく、地方にも浸透していることがわかりますが、このミシュラン・ガイドの評価からしても、日本食・和食が、世界のブームとなっているのは不思議ではないような気がします。

また、2020年に東京オリンピックの開催が予定されており、世界からアスリートや多くの訪日客が集まる訳ですが、日本の和食などが更なるブームを引き起こすと考えられます。さて、このように日本食が現在も将来的にもブームとなるのは喜ばしいことですが、問題は食の安全面が気がかりとなります。

現在推進されているHACCP(不良品の出荷を未然に防ぐことができるシステム)の義務化と、FSSC(安全な食品を提供するための国際規格)により、食品の安全が確保されていくと思われます。もともと、日本の和食文化は、素材を生かすことが基本であり、同時に保存食を目的としてさまざまな調理法を古代から発展させてきた食文化の歴史があります。

例えば、魚では、刺身、たたき、煮魚、焼き魚、干物、しめ(酢)など多様です。これらの調理法の原点には、食の安全に配慮した意識が見てとれるのではないでしょうか。つまり、日本人は食に関して衛生面での意識が極めて高いと言えましょう。日本食が世界のブームとなり始めた、2006年秋に、農林水産省は、本来の日本食を提供する店を認証するための「海外日本食レストラン認証制度」を発表しましたが、批判され撤回しました。

これは日本料理の基本技術がない店舗による質の低下を防止し、衛生面での懸念を念頭に置いたものでした。現在は、方針を変更して農林水産省が外郭組織、NPO法人「日本食レストラン海外普及推進機構」を設立し、海外の主な都市に支部をつくり活動しています。

日本政府が制定した外国向けの「日本食レストラン推奨制度」では、具体的に懐石、寿司、天ぷら、うなぎ、やき鳥、そば、うどん、丼物、その他伝統の料理を提供するレストランを対象としています。日本の伝統料理には、茶会や禅寺の古い習慣の懐石に由来する懐石料理と、武家の礼法から発展した本膳料理、お正月の御節料理などがありますが、本膳料理は儀式的意味合いが強かったことから、現在は饗応的な会席料理へと変わっています。

また、「日本書紀」には料理についての記述があり、主食として米、麦、副食に野菜、海藻、魚介類が用いられたと書かれています。675年には、殺生禁止令が出され、明治時代の19世紀に肉食が解禁されるまではほとんど食されず、肉を含まない料理が発展した歴史を持ちます。

※本記事は、2018年6月刊行の書籍『EARTH 2050』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。