春浅く鳴門の泡だつ渦潮に 船かたむけて釣る桜鯛
これやこの鳴門の潮のはぐくみし 若布かぐはしき一椀の汁
山の上の段々畑たがやして 老いづく人ら慎ましく生く
※本記事は、2019年9月刊行の書籍『歌集 秋津島逍遥』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。
歌集 秋津島逍遥【第60回】
“忘れえぬ旅をまたひとつ三十一文字に封印す”
――日本の面白さに旅装を解く暇もない
最果ての無人駅から、南の島の潮の香りまで、まだ見ぬ土地に想いは募る。
尽きせぬ思いが豊かな旅情を誘う、味わい深き歌の数々を連載にてお届けします。
春浅く鳴門の泡だつ渦潮に 船かたむけて釣る桜鯛
これやこの鳴門の潮のはぐくみし 若布かぐはしき一椀の汁
山の上の段々畑たがやして 老いづく人ら慎ましく生く