2 そもそも保育所と保育士とは何か

保育所の役割

保育所は、児童福祉法に基づく児童福祉施設で、次の三つの役割を持つ。ただ施設によっては保育園というところもある。最初に断っておくが、本書では保育所という表現に統一するが、外部の文献や情報の参照で保育園とされている場合はそのまま保育園という表現を使用する。

役割の1と2は保育所本来の役割であるが、最近は役割3が重要になってきていて注目されている。つまり、保育所に入所していない近隣地域の子どもやその保護者への支援も期待されているのである。

1 保育所に入所する子どもの保育

2 保育所に入所する子どもの保護者に対する支援

3 地域の子育て家庭に対する支援、ただしこれは努力義務である

では「保育」とはなにか。保育とは、「養護」と「教育」の要素が含まれ、養護とは子どもの生命の保持や情緒の安定のための援助であり、教育は子どもが将来独り立ちできるように援助することである。

保育所の保育士は子どもを一個の主体として尊重し、その命を守り、情緒の安定を図りつつ、乳幼児期にふさわしい経験が積み重ねられていくように援助する、という重要な責務を担っている。

認可保育所と認証保育所と認可外の保育施設の違い

保育施設は、認可保育所、認証保育所、認可外の保育施設などに分類できる。認可保育所とは、厚生労働省が定めた設置基準を満たし、都道府県知事に認可された保育所である。

その設置基準には、施設の広さ(例えば、〇歳児から一歳児は一人あたり、三・三平方メートル以上である)、保育士などの職員数、給食設備、防災管理、衛生管理などがある。国による公的資金補助があり、保護者の負担である保育料は安くなっている。

認可保育所は、その区市町村に在住・在勤・在学の人が利用可能である。ただし、順番待ちの場合は在住者が優先されるが、区市町村ごとに条件が異なる場合がある。申し込みは市区町村へ行い、市区町村への保育料は子どもの年齢や保護者の収入によって変わり、開所時間は一一時間が原則である。

最近は幼稚園と認可保育所の機能を併せ持った認定こども園という施設も作られ、内閣府が所轄である。二〇一五年からの「子ども・子育て支援新制度」により、認可保育事業は体系化され、大きな施設の「施設型保育」と小規模な「地域型保育」に分けられた。

「施設型保育」は認可保育所と認定こども園が含まれ、「地域型保育」は小規模保育、家庭的保育、事業所内保育、居宅訪問型保育に分類される。さらに二〇一六年度から事業所内保育を発展させた「企業主導型保育事業」が新制度として開始された。

また認可保育所は公立保育所と私立保育所に分けられる。公立保育所は、地方公共団体が直接運営し、保育士は地方公務員である。私立保育所は、社会福祉法人や株式会社、NPO法人などが運営する。ただし同じ地方公共団体の認可保育所であれば、保育料はどちらも同じである。

認証保育所とは東京都独自の制度に基づく保育所で、国による認可保育所ではないので、広義の認可外保育所に該当する。東京における保育の需要が非常に高い反面、国の設置基準が達成困難な東京では認可保育所では十分には対応できなかった。

そのため東京都は独自の基準(例えば、〇歳児から一歳児は一人あたり、二・五平方メートルである)を設定し、東京都と区が補助している。利用契約は認証保育所と保護者の直接契約となり、月額利用料は上限がある。保育士の人数割合は六割以上とする。開所時間は一三時間以上が原則である。

認可外の保育施設とは国の設置基準に合致せず、国の認可を得ていない保育施設である。ベビーホテル、深夜営業の保育施設、企業・官庁・大学・病院などが設置している社員や職員を優先している保育施設も認可外の保育施設である。国は認可外の保育施設に対しても最近は、実態把握と事故防止の観点から調査に力を入れ始めている。

例えば、待機児童対策の一環として政府が推進する企業主導型保育施設について、内閣府は二〇一七年度から、全施設に対して基準達成状況を確認する年一回の立ち入り調査と、死亡事故の危険性が高い子どもの昼寝中に抜き打ち調査を実施する方針を固めた。企業主導型施設への助成業務を担う児童育成協会が、外部委託して実施する。チェック体制を整えることによって、保育の安全性の向上を目指す。

※本記事は、2018年8月刊行の書籍『じーじ、65歳で保育士になったよ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。