2章 第一の関門――筆記試験への挑戦

10 保育実習理論

子ども向け言語教材

子ども向けの言語教材には、媒体として絵本、紙芝居、ペープサート、パネルシアター、エプロンシアターなどがあり、また内容としては昔話・童話、生活習慣を教えるもの、動植物や物を教えるもの、創作話などがある。

昔話とは昔の人たちが代々世々伝承してきた、語り物としてのおとぎ話のことである。昔話には、独自の語り方が存在し、その語り口、語りのすじ道には、先人たちの子どもへの思い入れが凝縮している。

日本の主な昔話には、桃太郎、浦島太郎、金太郎、花さかじいさん、こぶとりじいさん、さるかに合戦、一寸法師、舌切り雀、笠地蔵、鶴の恩返し、かぐや姫などがある。

童話とは児童が読む、または大人が幼児児童に読み聞かせる子ども向けの、民話、伝説、神話、寓話、物語等である。代表的な童話には赤ずきん、ウサギとカメ、浦島太郎、金太郎、三匹の子豚、白雪姫、シンデレラ、人魚姫などである。おわかりのように昔話と童話には重複する話もある。

実際に昔話や童話を子どもに聞かせる場合、子どもたちがリラックスし、また集中して聞けるように環境を整理する。

また子どもたち全員の顔が見られるように、保育士を中心に椅子を配置する。また事前に下読みをしておき、ストーリーを完全に頭に入れておく。そして一人ひとりの表情を見ながら、落ち着いてていねいに話す。

創作話とは保育士自身がオリジナルの話を作り話すこと。二~三分の話で、登場人物は少ない方がいい。内容は明るく、子どもの興味を引くストーリーであり、結末があることが大事である。

絵本は子どもの能力を高め、言葉や創造性、表現力を育てる。絵本は年齢によって、年齢の適性を事前にチェックしておく。絵本を子どもに読み聞かせる際、絵本は保育士が事前によく読んでおく。

できれば保育士が感動するような絵本を選ぶ。そして軽い抑揚をつけて読み、ページをめくる際は、間をよく考え、手が絵本の邪魔にならないようにする。絵本を読み終わった後、子どもの反応を見て、今後の絵本選びの材料にする。

紙芝居は絵本と異なり、声色を使い分けて演じることもある。紙芝居の裏面にある演出ノートを参考にすると良い。

ちなみに私の担当する組では、子どもたちは絵本よりも紙芝居を好むので、私はお昼寝前や午後のお茶の時間の後などに紙芝居を多用する。紙芝居は保育所でも多く保有していると思うが、図書館の紙芝居を借りて子どもたちに読み聞かせることも有益である。

ペープサートはペーパーパペットシアターの略で、紙人形劇のことである。ペープサートは紙の両面に登場人物や動物などを描き、棒をつける。舞台の上を左右に動かしたり、表裏を回転させたりする。

私はペープサートを人形劇だけでなく、子どもたちとのコミュニケーションによく使うが、子どもたちは喜んで反応してくれる。ペープサートやパネルシアター、エプロンシアターは保育士自身の手作りのものが子どもの反応は良い。

パネルシアターとは、ネルなどの毛羽立つ布を貼ったパネルにPペーパーで作った絵人形や動物を付けたり、外したりして、お話や歌遊びなどを楽しむものである。Pペーパーの絵人形や動物がパネルに付くのを、子どもたちは不思議がる。

エプロンシアターとは、エプロンの何か所かに面ファスナーが縫い付けられていて、そこにフェルト人形・動物などを付けたり外したり、またはポケットから出したり隠したりしながら、お話を続けていく。

保育士は、数多い昔話・童話から、子どもが興味や関心を持つもので、教育面でも優れているものを選ぶことが好ましい。また優れた絵本との出会いは、子どもの創造性や表現力を育てる。

「保育実習理論」を学んで

音楽が苦手なので、自分にとって「保育実習理論」は筆記試験九科目中、最大の難関と思っていた。

果たして、試験準備でも音楽の用語がすんなりと頭の中に入って来ないので困った。例えば、完全音程、長音程、減音程、増音程、主音、下属音、属音、導音、長三和音、短三和音、増三和音、減三和音、コードネームなど。

曲を転調せよ、移調せよ、もよくわからなかった。さらに、速度標語、強弱記号、曲想標語なども毎回出題される傾向で、覚えることも多い。造形表現と言語表現の勉強時間も音楽表現に充てて、必死で理解しようと取り組んだ。

保育実習理論では、保育所や児童福祉施設の役割りや機能、保育士の職業倫理、保育計画(保育課程・指導計画等)などが対象となり、さらに三つの保育技術(音楽、造形、言語)をきちんと理解しているか、が問われる。

一番不安の大きかった保育実習理論だったが、実際の筆記試験では、九科目中、最高の得点だった。必死でやった分、思った以上の結果が出たのかもしれない。うれしかった。

11  筆記試験の結果

筆記試験の結果

そして、いよいよ筆記試験の二日間となった。全力を尽くして九科目に取り組んだ。

前述したように結果は七科目が合格、「児童家庭福祉」と「子どもの食と栄養」が不合格だった。がっかりしたが、そもそも五カ月で筆記試験の九科目合格が無理な話だったのだ。とにかく五カ月間の準備で、筆記試験の七科目には合格したのだ。よし、物事は前向きに考えよう。

後期筆記試験に再チャレンジ

だから冷静になって、後期筆記試験に照準を合わせた。後期筆記試験は一〇月下旬であり、「児童家庭福祉」と「子どもの食と栄養」だけに絞れるので十分に時間があった。

前期筆記試験の轍は踏まないよう「児童家庭福祉」と「子どもの食と栄養」の自分の弱点を集中してカバーした。

同時並行して、実技試験の準備にも取り組んだ。なぜなら、後期筆記試験の結果発表は十一月下旬であり、実技試験は十二月十一日実施と、準備期間はたったの二週間しかないからである。

そして二〇一六年一〇月二二日に「児童家庭福祉」、翌二三日に「子どもの食と栄養」を受験し、試験結果については手ごたえを感じていた。十一月二八日に筆記試験の合格通知を受け取った。

筆記試験を振り返って

筆記試験の会場は前期試験が都内の私立大学で、後期試験は渋谷の私立商業施設だった。どちらも受験者は大変な人数で、受験者の九五%以上は女性で、男性はわずかであった。

試験の休憩時間に聞いてみると、女性のほとんどの方は保育所で保育補助や保育事務や調理をされている方であった。実際の試験会場には男性受験者は少なかったし、ましてシニアの男性の受験者はほとんどいなかった。

※本記事は、2018年8月刊行の書籍『じーじ、65歳で保育士になったよ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。