八丈の島のどこにも石蕗咲きて
荒れはじめたり沖つ白波
*石蕗 つわぶき。キク科の常緑多年草。
吹く風はひびきをあげて白波の
礁を洗ふ八丈島の磯
*礁 海面に見え隠れする岩。
八丈富士ひろがる裾野黒牛の
牧に流るるしぐれ迅しも
*しぐれ 秋の末から冬の初めにかけて降ったりやんだりする小雨。
※本記事は、2019年9月刊行の書籍『歌集 秋津島逍遥』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。
歌集 秋津島逍遥【第39回】
“忘れえぬ旅をまたひとつ三十一文字に封印す”
――日本の面白さに旅装を解く暇もない
最果ての無人駅から、南の島の潮の香りまで、まだ見ぬ土地に想いは募る。
尽きせぬ思いが豊かな旅情を誘う、味わい深き歌の数々を連載にてお届けします。
八丈の島のどこにも石蕗咲きて
荒れはじめたり沖つ白波
*石蕗 つわぶき。キク科の常緑多年草。
吹く風はひびきをあげて白波の
礁を洗ふ八丈島の磯
*礁 海面に見え隠れする岩。
八丈富士ひろがる裾野黒牛の
牧に流るるしぐれ迅しも
*しぐれ 秋の末から冬の初めにかけて降ったりやんだりする小雨。