MRIの診断で問題となる脳梗塞類似病変

日頃、患者さんの脳画像を読影していて問題になる病変が2つあります。

大脳白質病変

・「白質病変」と「脳梗塞」は同じですか?
「白質病変と脳梗塞は似たような所見を呈しますが、梗塞と考えてもよいのでしょうか?」という質問を非専門医の先生から受けることがあります。

白質病変は日常の読影でよく目にする所見で、脳梗塞と同一視しがちですが、この2つは別物とみなすべき病変です。もし患者さんに白質病変を脳梗塞だと説明すると、患者さんによっては「頭が真っ白になった」とショックを受けられる方がおられます。

・「白質病変」をどのように診断すればよいのでしょうか?
白質病変は2つの部位でみられます。1つは側脳室周囲で、MRI上は脳室周囲高信号域(PVHI)と呼ばれているものです。水頭症の場合にみられるのと同じ側脳室周囲です。しかし、水頭症急性期にみられる変化は脳室内圧亢進に続き上衣層の透過性が変化するため、脳室周囲に水分が過剰に貯留して起こる変化です。

[図1]85歳女性の大脳白質病変のMRI・フレア画像。両側の側脳室周囲に中等度の高信号域が認められます。また両側大脳半球深部白質に柵状高信号病変を認めます