癌に合併する脳梗塞

日本人の死因の第一位は悪性腫瘍(癌=がん)です。ちなみに脳卒中はかつて第1位でしたが現在は第4位です。

癌があると凝固亢進状態を来し脳卒中を起こしやすくなります。実際、癌で亡くなられた方の約15%に脳血管障害が認められ、出血と梗塞の頻度はほぼ同じであったと報告されています。

癌があると血液が固まりやすくなり、心臓の弁に固まり(疣贅)ができたり、下肢の静脈に血栓ができたりする(別記:エコノミークラス症候群)ことで、脳梗塞を起こしやすくなります。下肢の静脈にできた血栓がなぜ脳梗塞を起こすかについては、前章で説明しました。

その他、血液が固まりやすいため、血管のいたるところで小さな固まりができる(微小血栓)、癌細胞が小さな固まりとして脳の血管に詰まる(腫瘍塞栓)、といったメカニズムでも脳梗塞が生じます。