脳梗塞・認知症・ロコモを医師が徹底解説!
「高齢社会の三大疾患」の一つ、脳梗塞を知ろう。
治療・予防法に注目が集まる三大疾患について、医師が徹底解説をするシリーズ・第1弾。
患者・その家族が理解しづらい、脳梗塞時に脳で起こっている変化を画像でわかりやすく図解。また、いかに予兆をとらえ迅速に病院へ行くかが重要な脳梗塞における初期症状、診断・治療、予防法についても流れに沿って解説。リハビリの章では、手指、下肢の麻痺チェック、失語症患者との会話法などもイラストで示すことで視覚的に把握。
医療従事者だけでなく、介護・福祉関係者が患者への説明・指導を行ううえでも活用できる知識が詰まった連載をお届けします。
癌に合併する脳梗塞
日本人の死因の第一位は悪性腫瘍(癌=がん)です。ちなみに脳卒中はかつて第1位でしたが現在は第4位です。
癌があると凝固亢進状態を来し脳卒中を起こしやすくなります。実際、癌で亡くなられた方の約15%に脳血管障害が認められ、出血と梗塞の頻度はほぼ同じであったと報告されています。
癌があると血液が固まりやすくなり、心臓の弁に固まり(疣贅)ができたり、下肢の静脈に血栓ができたりする(別記:エコノミークラス症候群)ことで、脳梗塞を起こしやすくなります。下肢の静脈にできた血栓がなぜ脳梗塞を起こすかについては、前章で説明しました。
その他、血液が固まりやすいため、血管のいたるところで小さな固まりができる(微小血栓)、癌細胞が小さな固まりとして脳の血管に詰まる(腫瘍塞栓)、といったメカニズムでも脳梗塞が生じます。
本書で紹介している治療法等は、著者が臨床例をもとに執筆しております。万一、本書の記載内容により不測の事故等が生じた場合、著者、出版社はその責を負いかねますことをご了承ください。
また、本書に記載している薬剤等の選択・使用にあたっては、医師、薬剤師等の指導に基づき、適応、用量等は常にご確認ください。