複数匹捕獲具の開発

B 大がかりな仕掛けを使った捕獲例

実施例2 松山市内の大きな雑居ビル

この、一斉に入ったり、一斉に入らなくなったりする行動について、長らく何故だろうと考え続けた。しかし、前述と同じ解釈をすると、納得できる。つまり、安全を確認する個体が決まっているとした場合、その個体が危険だと判断すると他の個体は入らなくなるし、再び安全だと判断されれば他の個体が一斉に入るようになるのだ。

ばらばらに、個々の個体が仕掛けに チャレンジしているのなら、一斉に入ったり入らなくなったりすることは起きないのではないか。つまり、親である大きい個体の判断次第で、子たちの行動が決定されているのではないか。

点検に行った際に、大きいネズミが捕獲具の近くにいて、すぐに逃げようとはしなかったので写真として残したものがある。ふてぶてしい顔をしていたが、この個体が親なのだろうか。

ただ、1~2週間かかってでも再び餌付けすることが可能だとわかったのだから、慌てる必要はない。いろいろ試してみることにした。

新しくアイデアが浮かんだとしても、金属の付属品を作ってもらうには2週間ほどかかってしまう。テストを始めて2カ月ほど経過した後にいよいよロックモードにする日が来た。翌日には大きい個体1頭を捕獲することができた。入り口のロックが解除されているので、続けて他の個体が入るかもしれない。もう1日そのままで放置したが変化はなかった。

回収し、その様子を動画で撮影して動画サイトにアップした。持ち帰って処分し、体重を量ると230gあった。クマネズミとしては大きい方だ。長く餌付けを行ったので、大きくなったのかもしれない。この例の場合も、親と呼べるほどの大きさの個体がまず捕獲されたのだが、続けて入ることはなかった。連続捕獲具のはずが、連続して入らない結果となった。