新情報の入手

つい最近になって新しい情報が手に入った。ドブネズミに関する情報である。アメリカではドブネズミとハツカネズミの生息範囲が広く、クマネズミはフロリダ半島とハワイにしか生息していない。私は何かの本を読んでそのことを知っていたのだが、ヨーロッパについての情報は持ち合わせていなかった。新しく手に入れた情報では、ヨーロッパでもドブネズミの生息範囲の方が広く、さらに、ドブネズミのスーパーラットが出現していて、現在その対応に苦慮しているというものだった。

スーパーラットが出現しているということは、ドブネズミを駆除するために長期間殺鼠剤を使用していたということであり、殺鼠剤が全く効かないドブネズミが登場していて猛威を振るっているということである。日本ではクマネズミのスーパーラットが都市部に出現していてお手上げ状態なのだが、ヨーロッパではそれと全く同じ状況が、捕獲しやすいドブネズミで起きていることを初めて知った。なんと西洋では、征服しなければならないネズミはクマネズミではなくドブネズミの方だったのだ。

過去にヨーロッパを中心としてペストが蔓延し、多くの人がバタバタと死んでいったのだが、蔓延させた真犯人は捕獲しにくいクマネズミではなく捕獲しやすいドブネズミの方だった可能性が高い。

ドブネズミについては、開発初期の早い時期に一斉捕獲が可能なネズミであることを私は確認している。ドブネズミは私にとって既に征服済みのネズミであり、今では全く眼中にない。

ハツカネズミに至っては連続捕獲具を作って、その仕掛けが有効であることを確認したのだから、もし仮に、ドブネズミがハツカネズミと同様に連続捕獲が可能な生き物なら、私の仕掛けは日本ではなく西欧社会で必要とされる捕獲具ということになる。もちろん、薬剤を使わないのだから、安全性という点で数段優れた駆除方法であることは言うまでもない。諦めかけていたネズミ捕獲に少し明かりが灯った。

アライグマ、ヌートリア等の外来生物は駆除しなければならない生物だと法律で定められている。これは日本の生態系を守るためだ。だから駆除する目的で薬剤をばら撒くなんてことはできない。駆除方法として許されているのは捕獲だけである。しかし、単に捕獲籠を置いておくだけで簡単に捕獲できる生き物ばかりではない。駆除を目的として効果的に捕獲するには、何よりも捕獲対象となる生き物の生態を知ることがとても重要だ。

クマネズミを捕獲しようと決意して以来、絶えず知りたいと願い続けていたのが、このネズミの生態である。どのような暮らしをしているのか、どのような思いで捕獲具を眺めているのか。知りたいことが山ほどあったとしても、答えは観察を通してしか得られなかった。

今回、連続捕獲具を使ってハツカネズミを160頭捕獲したのだが、捕獲までの日数をデータに加えることによって、ハツカネズミの面白い習性をいくつも発見することができた。最も知りたいと願い続けていたネズミの生態について、未知の部分を含めて、かなり奥深くまで分け入ることができたと思っている。

その中にはドブネズミにも共通する習性が多く含まれているはずなので、ドブネズミを効果的に駆除する際には、ハツカネズミの観察結果は十分に役立つはずである。そして、仮にドブネズミでも連続捕獲が可能であることが確認されたなら、ハツカネズミの捕獲例は単に面白い習性を発見できたということだけではなく、ドブネズミを効果的に駆除するためのとても重要な手引書に成り得るのだ。そこで、第2部では、私が行ったハツカネズミの捕獲例について、詳しく説明することにする。

※本記事は、2020年6月刊行の書籍『捕獲具開発と驚くべきネズミの習性』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。