第1部 捕獲具開発

3章 仕掛けとその効果

5 複数匹捕獲具の開発

B 大がかりな仕掛けを使った捕獲例

実施例2 松山市内の大きな雑居ビル

市内の中心部に位置する大通商店街の一角にある大きな雑居ビルに連続捕獲具を設置した。既製の捕獲具では間に合わないほど大きい仕掛けになったので、ハツカネズミを飼育するための大きいステンレス製の金網を用いて、中に仕掛けを入れて設置した。

そこは一階がパチンコ店で、階段下には店内を清掃するための道具をしまい込む狭いスペースがあった。水道が引かれていて、水を受けるためのパンがあり、いつも水が少量たまっている。

戸を開けるとひどいネズミ臭があり、壁には穴があいている。巣になりそうな物が見当たらなかったので、水飲み場として多くのネズミが利用しているようだ。

後で述べることになるのだが、この時の仕掛けはハツカネズミ用の連続捕獲具(3つ目の国内特許取得、アメリカ国内で初の特許取得)のアイデアと初めて特許を取得したアイデアを合体させて作ったものだった。捕獲されたネズミが通路を移動する際に足元の板を踏む。そうすると、ロックされていた入り口が開いて、再び他のネズミが入って来られるようになる。

満を持して作ったもので、完成させることができれば、いくらで買うのかと同業仲間に聞いたこともある。その時は本当にできたのであれば、1台10万で買うと言われ、捕らぬ狸の皮算用を早速してみた。これも楽しみの1つである。

でかいネズミが入ることを考えてそれぞれのパーツを少し大きくすると、全体として今までになかったほどの大きさになった。10万円で売れるなら、1台当たり製造コストに2万円ぐらいかけても大丈夫だ。

クマネズミはとにかく足元が不安定になることを嫌う。ほんの少しのふらつきの変化でも気付き、中に入らなくなる。パンを食べることの誘惑より、危険であると認識する方が勝つのだ。一旦、危険であると認識されると、仕掛けをふらつきのない状態に戻しても、一週間ほど入らない状態が続いた。

何故だろう? すぐに餌付けすることができたのだから、同じようにすぐ入ってくれても良さそうなものだ。しかし、すぐには入ってくれない。

※本記事は、2020年6月刊行の書籍『捕獲具開発と驚くべきネズミの習性』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。