2章 第一の関門――筆記試験への挑戦

5 児童家庭福祉

児童虐待の防止と通告義務

現在、児童福祉法では、児童相談所と市町村の福祉事務所などが、児童虐待の予防、児童虐待の早期発見、児童虐待への対応の窓口になっている。

また、児童福祉法および児童虐待防止法では、児童の虐待を発見したすべての者に児童虐待への対応窓口に通告することを義務づけている。児童委員(民生委員が兼務)を通しても良い。

さらに、子どもの福祉にかかわる人たちは、その仕事柄、一般の人以上に虐待の早期発見および通告に努める義務がある。

子どもの福祉にかかわる人たちとは、学校の教職員、児童福祉施設の職員(保育士を含む)、病院の医師や看護師、保健所の保健師、弁護士やその他児童福祉に職務上関係のある人を指す。

虐待の通告義務VS個人情報保護

また虐待の案件については、個人情報を含むことが多い。そこで、個人情報の尊重と虐待情報の通告で、どちらが優先されるか悩むケースがある。この場合は、虐待情報の通告義務が優先される。

つまり虐待の有無について迷う場合でも、市町村、保健所、児童相談所などとの連携を積極的に行うことで、虐待問題が深刻化することを食い止めることができる。

しかしながら、多くの一般の人はこのことを知らないし、知っていても、近隣地域の場合は、後で自分にとばっちりが及ぶことや、お礼参りをされるのを心配して、見て見ぬふりをすることが多いのではないか。

私自身、近隣地域で二件の虐待の可能性のある案件を児童委員に連絡したことがある。両方とも要観察として継続的に児童委員によって見守りがされている。

虐待への措置

子どもへの虐待のおそれが正式に認められた場合には、立ち入り調査が児童相談所によって行われることがあり、必要であれば、警察も同行する。

その結果、児童相談所は、虐待を受けた子ども(被虐待児)の一時保護、施設入所措置または里親委託、さらには、親権者が同意しない場合でも家庭裁判所の承認をもって施設入所させることができる。

「児童家庭福祉」を学んで

児童家庭福祉は、日本国憲法に基盤を持つ児童福祉法で定義されており、児童憲章やジュネーブ宣言、世界人権宣言、児童権利宣言、そして児童の権利の関する条約などの流れに基づいて児童家庭福祉が現在、構築されていることを知った。

児童福祉法は、一二種類の児童福祉施設を規定しており、児童福祉施設のねらいは要保護児童を児童福祉施設に入所または通所させて、児童の福祉や自立支援で、子どもに適切な環境を提供し、子どもの権利を保障する役割をもつ。

少子化対策や待機児童問題への対策の取り組みは、一九九四年策定のエンゼルプランから始まり、実に二〇年間以上に及ぶ。大変なエネルギーと時間と予算を投入してきたが、残念ながら解決には至っていない。

昨今の問題として、ひとり親家庭と虐待の問題がクローズアップされている。離婚の増加に伴い、ひとり親家庭が急増しているが、ひとり親家庭の貧困は大きな問題となっている。

養育費の支払いがなされていないことも、貧困問題に密接に関係している。また児童への虐待問題は、多くの人が児童虐待について正しい認識を持っていないことに起因する。

すべての日本国民は、児童相談所などに通告する義務があり、学びから行動に移すことが大事だ。

※本記事は、2018年8月刊行の書籍『じーじ、65歳で保育士になったよ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。