2章 第一の関門――筆記試験への挑戦

5 児童家庭福祉

政府の子育て支援や待機児童問題解決への主要な取り組み

政府は、少子化対策として、また待機児童問題を解決する子育て支援策を過去二〇年以上の間、様々な施策や法律を定めてきた。それらの施策や法律を振り返ってみよう。

① エンゼルプラン(一九九四年策定):四大臣の合意のもとに、少子化対策および仕事と子育ての両立支援などを主な目的として策定された。五つの基本的方針のもと、重点施策を推進した。

② 緊急保育対策等五カ年事業(一九九四年策定):エンゼルプランの具体化で、低年齢保育や延長保育などサービス拡充で、五年間の目標値設定を行った。しかし結果はすべての目標値が未達であった。

③ 少子化対策推進基本方針(一九九九年策定):少子化への対応を考える有識者会議の提言を受けて、仕事と子育ての両立、保育サービスの整備など六項目を柱とした方針が策定された。

④ 新エンゼルプラン(一九九九年策定):少子化対策推進基本方針を受けて、少子化対策の五カ年実施計画が策定されたエンゼルプランと緊急保育対策等五カ年事業を見直したものである。

⑤ 待機児童ゼロ作戦(二〇〇一年閣議決定):閣議決定された、仕事と子育ての両立支援策の方針を受けて、三年間で一五万人の受け入れ児童数の増加を目標にした。目標は達成したが、保育希望家庭数も増えたため、待機児童数は減らなかった。

⑥ 少子化対策プラスワン(二〇〇二年提言):晩婚化・非婚化・夫婦の出生力低下の問題の顕在化に伴い、従来の子育てと仕事の両立支援に加え、さらに四つの柱からなる追加策が提言された。具体的には働き方の見直しや、地域による子育て支援などである。

⑦ 次世代育成支援対策推進法(二〇〇三年制定):次世代を担うすべての子どもを支援する次世代育成支援が策定された。次世代育成の国・地方公共団体・企業の役割が策定され、その行動計画の作成が義務となった。時限立法であり、二〇二五年まで延長された。

⑧ 少子化社会対策基本法(二〇〇三年制定):次世代育成支援対策推進法と同時期に策定され、少子化対策施策の基本理念が示され、少子化対策についての国・地方公共団体・事業主・国民の責務の明確化が行われた。

⑨ 少子化社会対策大綱(二〇〇四年策定):少子化社会対策基本法に従い策定された。自立への希望と力、不安と障壁の除去など三つの視点と、少子化の流れを変える四つの重点課題を提示された。

⑩ 子ども・子育て応援プラン(二〇〇四年策定):少新エンゼルプランの終了に伴い、少子化社会対策大綱の四つの重点課題に基づく五年間の重点施策とその実施計画が策定され、その目標値も掲げられた。

⑪ 新待機児童ゼロ作戦(二〇〇八年策定):安心して子どもを預けられる社会を目指し、保育サービス改善や放課後児童クラブの整備などを策定した。一〇年後の目標値として、三歳未満児の保育サービス提供割合を二〇%から三八%へ、また放課後児童クラブ(小一年~小三年)の提供割合を一九%から六〇%へとセットした。

⑫ 子ども・子育てビジョン(二〇一〇年策定):子ども・子育て応援プランの後継計画で、少子化対策から子ども・子育て支援に転換。社会全体で子育てを支えるという基本的な考え方である。

⑬ 待機児童解消「先取り」プロジェクト(二〇一〇年官邸が設置):官邸が設置の待機児童ゼロ特命チームがまとめ、待機児童解消を目指して、都市部を中心に保育所数や保育定員数を増やしたが、保育希望家族数も増加し、待機児童解消とならなかった。

⑭ 待機児童解消加速化プラン(二〇一三年提示):本格的な子ども・子育て支援法の施行に先駆けて提示された。保育所の整備や保育士の確保、小規模保育事業などの五つの支援策を掲げた。

⑮ 子ども・子育て支援新制度(関連三法の二〇一二年成立):内閣府を中心に、子ども・子育て新システムの制度設計が進められ、二〇一二年に子ども・子育て関連三法が成立し、二〇一五年の三法の施行に伴い子ども・子育て支援新制度が創設された。この新制度では、高品質の幼児教育と保育の総合的な提供、保育の量的拡大、地域による子ども・子育て支援の充実の三点を強化した。

以上のように、政府や地方公共団体は二〇年以上の長きに渡り、様々な形で子育てを支援し、待機児童問題を解決する取り組みをしてきたが、残念ながら、待機児童の問題は未だに解決していない。なぜであろうか。私の意見は後で述べたい。

※本記事は、2018年8月刊行の書籍『じーじ、65歳で保育士になったよ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。