第2章 HACCPは、今

(2)TPPに期待する農業

(TPP:環太平洋パートナーシップTrans―Pacific Partnership)

TPPは、環太平洋地域の国々による経済の自由化を目的とした多様、多角的な経済連携協定です。ちなみにTPPには北大西洋版があり、大西洋横断貿易投資パートナーシップ協定(TTIP)と呼ばれています。

2016年2月4日に、日本やアメリカなど12カ国が参加し、TPP環太平洋パートナーシップ協定の署名式がニュージーランドで行われました。

しかし、トランプアメリカ大統領が新たな二国間交渉を目指す姿勢を打ち出し、離脱の大統領令に署名したため、TPPの成立の目処が危うくなってしまいました。

TPP協定はすでに署名が済んでいるので、国際協定としては成立しています。ただし、協定の発効のためには参加国のGDP、合わせて85 %以上で、少なくとも6カ国の手続きが必要です。

これに対応して、アメリカ以外の加盟11カ国は、新協定「TPP11」の発効を目指すことにして、2017年5月にベトナムで加盟国11カ国でのTPP協定を早期に発効することを確認しました。その後、日本での主席交渉官会合を3回行って、アメリカ抜きで発効できないものや、合意した市場開放、貿易、投資ルールの適用について新たな協定が必要になりましたが、アメリカが復帰するまでそれらの実施を棚上げにする凍結項目の議論を進めることにしました。

その結果、現状では、2017年11月にベトナムで開催されたAPECの首脳会談で大筋合意しました。いずれにしても、凍結議論をしていることから、将来的にはアメリカの復帰を求めている状況にあると言えましょう。但し出版される時期に変化もあると思われます。

そもそも、TPPの原協定は、2006年5月に、シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4カ国が、経済連携協定(EPA)を結んだことに始まります。この協定の内容は、加盟国全ての関税の90%を撤廃し、産品の貿易、原産地規則、貿易救済措置、衛生植物検疫措置、貿易の技術的障害、サービス貿易、知的財産、政府調達、競争政策を含む自由貿易協定のすべての主要な項目を包括的にカバーする協定になっていました。

その目的としては、「加盟国の戦略的提携によって市場におけるプレゼンスを上げる」ことにありました。

2010年3月に、アメリカ、オーストラリア、ベトナム、ペルーの4カ国を加えた拡大交渉が開始されました。後にマレーシアが加わり9カ国によって大筋合意に至って、2012年内に最終妥結を目指しました。

一方、アメリカが加わったことにより、レベルの高い自由化を目指す包括的な協定になり、アジア太平洋地域の新たな経済統合の枠組みとして発展する可能性も指摘されるようになりました。また、その交渉過程、内容等は原則非公開とされ、閲覧できるのは協定に関わる各国3名ずつのみというものでした。そのため、多くの疑念や交渉や協定内容への不信、不安が生まれることにもなりました。

2013年、日本が加わることになり、他にカナダとメキシコが加わっており、TPPの参加国は、12カ国となりました。

日本が加わったことで、アメリカを除く、TPP環太平洋パートナーシップの加盟国と後に加わった交渉国10カ国のGDP(国内総生産)を比較すると、域内GDPの91%を占めることから、実質は日本とアメリカのFTAだとする見方もあります。しかし、原加盟国4カ国間で発効している原協定の拡大であることは間違いないようです。

また、「日本の食品の安全、HACCPとFSSC22000を考える」ということで、私は中央大学川越支部での講演で話しました。経済学理論に20〜80 の原理は、日本のような安全で美味しい製品であれば、同一種の品物の価格が倍でも、それ以上でも富裕層は消費していることから、生産効率の高い製品でも収益は満たされます。量から食品安全を含む質の時代でもあります。

HACCP食品の安全・安心を大きくしていくことになります。

※本記事は、2018年6月刊行の書籍『EARTH 2050』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。