第5章 社会人に求められる能力とは

言葉が行動力をつくり出す

私にもそのような言葉があります。ある大学でキャリア形成論という講義を担当させていただいたとき、私は若い学生のみなさんに、次のフレーズを贈りました。

「ものごとは必然性をもって現象化する」
「過去、現在、未来というが、私たちにあるのは常に今しかない。今が移動しているだけである」

私はこの言葉にたどり着くのに約四半世紀を要しました。人生は試行錯誤の連続です、苦しいことや高い壁が波状的に襲ってきます。

そこから逃げ出したり、中途半端にごまかしたりすれば痛い目に遭います。どんな小さな障害でも避けることなく取り除く習慣を身につける必要があります。

企業経営において小さな障害が大きな破綻につながることも十分にあるのです。大きな問題のはじまりは意外とささいなことだったりするものです。

世の中は因果律で動いており、人生では王道を歩くことがとても大切であるという私自身の体験から「ものごとは必然性をもって現象化する」という言葉が生まれました。また、私たちは先のことばかりに気をとられたり、逆に過去のことに引きずられ、”今”が疎かになることがしばしば起こります。当然のことながら“今”を疎かにしては未来を切り開くことはできません。