気づいた人が地方に移り住み、地方を高度化していく

いままでの社会は物理的な空間と仕事が一体化し、高い収入を求めるためには高い収入を実現する空間に移動しなければなりませんでした。その壁を、オンラインが切り崩しました。場所と仕事を切り離したのです。

私たちは長い期間にわたって仕事は決められた場所でしかできないものと思い込んでいました。しかし、リモートワークを強制させられて、定められた場所を離れても仕事ができることを発見しました。

この発見は、私たち人間にとってエポックメーキングになる出来事になりました。社会の隅々にまでリモートワークが広がることで、これまで一体化した場所と収入は分離し、東京の仕事を日本のどこでも、好きな場所でできます。

つまり、地方でも、東京にいるときと同じような収入を得ることができ、生きていくことができるようになるのです。これまで東京で活躍していた人は、東京を離れるとその仕事を諦めるしかありませんでしたが、仕事をやめることなく、地方に移ることができるのです。

緑豊かな小川のせせらぎ、小鳥のさえずりが聞こえるところで、東京の仕事ができるのです。昼時には、そよかぜに触れながらバルコニーで食事をとり、仕事が一区切りついた夕方には、隣接した家庭菜園で子どもたちと一緒に今晩の野菜の収穫をする。

こうした光景の中で行う仕事は、とても充実するに違いありません。ぎゅうぎゅう詰めの満員電車に揺られながら、やっとの思いで会社にたどり着き、無機質な空間で、ひたすら仕事をする。長い行列で順番待ちのうえ昼の食事を済ませ、再びぎゅうぎゅう詰めの満員電車に揺られながら、帰路につく。

何十年にわたるローン返済に苦しみ、土日には、蓄積した疲労をとるため、昼まで爆睡する。延々とこれを繰り返し、気づいてみたらリストラや定年を迎えた。