数しれぬ吊り掛けランプ点さるる
明るさにやすらふ小樽駅なり
海よりの山背風よせくる竜飛崎
あぢさゐあまたふるへてゐたり
*山背風 東北地方の太平洋側の海岸に吹く夏の冷たい北東の風。
ゆるゆるとまはる風車は風をよび
津軽の海にま向かひてたつ
歌集 秋津島逍遥【第23回】
“忘れえぬ旅をまたひとつ三十一文字に封印す”
――日本の面白さに旅装を解く暇もない
最果ての無人駅から、南の島の潮の香りまで、まだ見ぬ土地に想いは募る。
尽きせぬ思いが豊かな旅情を誘う、味わい深き歌の数々を連載にてお届けします。
数しれぬ吊り掛けランプ点さるる
明るさにやすらふ小樽駅なり
海よりの山背風よせくる竜飛崎
あぢさゐあまたふるへてゐたり
*山背風 東北地方の太平洋側の海岸に吹く夏の冷たい北東の風。
ゆるゆるとまはる風車は風をよび
津軽の海にま向かひてたつ
津軽半島 突端の竜飛(たつぴ)崎は風が強く、何基もの風力発電機が設置されている。岩木川の河口に広がる十三湖は中世から近世にかけて交易の要所として栄え、近くに十三湊跡もある。三廐村(みんまやむら)にある義経(ぎけい)寺は、いわゆる「義経伝説」が伝わる寺。蟹田港から下北半島脇野沢港へ向けてフェリーが運航している。