「親戚もないですし、もう母と二人っきりになりました」と、優子は肩を落とした。
「遺言書に、特に相続の事は書かれていなかったのですね?」

「はい」
「わかりました。相続人は、お母様と貴女になります。それでいいですか?」

「えぇ。……あの、母が探してくれて、登記簿謄本とか、色々と持って来ました」と、優子は封筒を天地に渡した。

「では、拝見しますね」
天地は、渡された封筒から書類を出して見た。

「保険の証書も入れてあります」と、優子は言った。

「なるほど。では、今度、戸籍謄本を役所でとっておいて下さい。ここの事務所に送って下さったらいいです。それから、お母様と貴女の実印を作って、印鑑登録をしておいて下さい」

天地はテキパキと話した。

「相続税って、かかるんでしょうか?」
「場合によります。これはお預かりしていいですか?」

「えぇ。お願いします」
「大体わかりました。じゃぁ、あとは僕が調べてやります」

「私、もう、いいんですか?」
「はい。次は、僕からご連絡をします。その時に、身分証を持って来て頂いて、印鑑を押したり、実印を押して頂いたりをお願いします」

「ありがとうございます」と、ホッとした優子は、笑顔で頭をさげた。

※本記事は、2020年4月刊行の書籍『追憶の光』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。