理解しがたいハツカネズミの行動についての謎

クマネズミは足元が急に不安定になることを嫌うが、ハツカネズミは全く気にしない。シーソーを使った初期の仕掛けはクマネズミが全く入ろうとしない仕掛けなのだが、ハツカネズミとドブネズミでは有効だった。構造が単純な上に足元を気にしない生き物に有効な捕獲方法なのだから、連続捕獲できる構造に作り替えれば、それなりに役立つ捕獲具になると思って作ってみた。この仕掛けは日本国内とアメリカで特許になっている。

テストのつもりで捕獲を始めたのだが、捕獲している間にも不思議に思うことがいくつかあって面白くなり、1つの場所で160頭も捕獲してしまった。それぞれの個体データに加わっているのだから、ネズミたちがどのような順で捕獲具に入ったかが分かる。暇な時にデータを調べ始めると、次々と謎が現れた。謎とは理解しがたいハツカネズミの行動についての謎だ。

理解できないのは、その習性を知らないからであって、データの中に未知の習性が隠されていることを示している。クマネズミの例の時と同じように希少な情報のはずだという思いが常にあったので、仕事をする傍らで3年以上の間夢中になってこつこつとデータ解析を行った。いくつかの謎を解くために用いたグラフの多くは恐らく今までに誰も目にしたことがないグラフばかりである。ハツカネズミについても珍しい観察結果が得られたと思っているので途中の謎解きを含め、その詳細について述べる。

ハツカネズミの前期捕獲とその観察結果

ハツカネズミの捕獲作業は同じ場所で3月から7月までの4カ月間と5カ月後の12月から1月までの約2カ月間、計2回行った。当初の目的は連続捕獲具がうまく機能するか確認するためであり、1つのエリアに住む集団を残らず捕獲してその構成を調べることだった。

しかし謎が多く出現したことから、謎を解くために2回目の捕獲を追加して行ったわけである。不思議の壺に見事にはまったと言って良く、捕獲終了後の数年間その謎解きに没頭した。まず、謎が多く出現し、壺にはまるきっかけとなった前期の捕獲について、その結果と謎解きの詳細について述べる。

【つづく】

※本記事は、2020年6月刊行の書籍『捕獲具開発と驚くべきネズミの習性』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。