舷側に近よる海豹ヒト族の
女・男のちがひを観ては愉しむ
夏さえも納沙布は冷ゆストーブを
点けしゅんしゅんと湯のたぎりをり
日の昇るきらめく海に歯舞の
島々は浮かぶやうに散らばる
※本記事は、2019年9月刊行の書籍『歌集 秋津島逍遥』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。
歌集 秋津島逍遥【第14回】
“忘れえぬ旅をまたひとつ三十一文字に封印す”
――日本の面白さに旅装を解く暇もない
最果ての無人駅から、南の島の潮の香りまで、まだ見ぬ土地に想いは募る。
尽きせぬ思いが豊かな旅情を誘う、味わい深き歌の数々を連載にてお届けします。
舷側に近よる海豹ヒト族の
女・男のちがひを観ては愉しむ
夏さえも納沙布は冷ゆストーブを
点けしゅんしゅんと湯のたぎりをり
日の昇るきらめく海に歯舞の
島々は浮かぶやうに散らばる
根室 納沙布(のさつぷ)岬は日本本土最東端の岬(東経一四五度四九分)である。また納沙布岬にある北方館には日露通好条約(一八五五年締結、いわゆる下田条約)の資料が展示されている。東根室駅は日本最東端の駅である。