おもおもと両手に曳きてならべゆく
昆布干し場に朝日さしくる
国境を定めし条約「エトロフ」の
文字ふとぶとと墨蹟は在る
最果てのひとり降りたつ無人駅
雪はらに群れて鴉さわげり
※本記事は、2019年9月刊行の書籍『歌集 秋津島逍遥』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。
歌集 秋津島逍遥【第15回】
“忘れえぬ旅をまたひとつ三十一文字に封印す”
――日本の面白さに旅装を解く暇もない
最果ての無人駅から、南の島の潮の香りまで、まだ見ぬ土地に想いは募る。
尽きせぬ思いが豊かな旅情を誘う、味わい深き歌の数々を連載にてお届けします。
おもおもと両手に曳きてならべゆく
昆布干し場に朝日さしくる
国境を定めし条約「エトロフ」の
文字ふとぶとと墨蹟は在る
最果てのひとり降りたつ無人駅
雪はらに群れて鴉さわげり