Ⅰ.人間の最大の死亡原因は何か?

1 罹患原因の存在しない病気はない

我が国の特異な死亡原因疾患発生傾向

とは言え、非常に高齢な人でステーキを結構頻度高く食べていても元気に過ごしているというような例もあるので、私がここに述べたことを到底信じ難いと感じる人もいることでしょう。ただ、例えば、アルコールに関しては、日本人は欧米諸国や中国の人に比べて遥かに弱い傾向が認められます。これは、アルコール分解酵素には2種類のものがあって、欧米諸国や中国の人はその2種類を持っている人がほとんどで、日本人の多くは1種類しか持っていないことに起因すると言われています。

そこで、肉類に関しても、持っている消化分解酵素の種類および量に、民族間での差異が存在するということがあるのではないかと私は推察しているのです。今後このようなことも研究が十分なされ、詳細が明らかとされることが望まれます。

また、日々の暮らしの中での様々な努力の結果、消化能力を高く維持できた人はステーキを頻繁に食べても長生きしたということも考えられます。したがって、生活の中で消化能力の維持に余り努力をしていない人が、消化に関わる諸々の事柄を知ることなく、ただ短絡的に“ステーキは健康維持に良いのだ”としてそういう食生活を送った場合には、全く違った帰結を迎えることとなる可能性は多分にあると判断されるのです。

但し、もしこのような食生活における不適合が日常生活の中であったとしても、たいていの場合は、そのことで生じる日々の変化は相対的に見た場合には非常に微々たるものであって、その影響は長期間経過後に累積的な結果として表れてくるものですから、「食生活内容の大幅な変化から病気の発生傾向に大きな変化が生じる」ということに人々が途中で気付くことは、なかなか難しいというのが実状であるのです。

実際、人々は、このような原因およびメカニズムで慢性諸病が発症するのだということを、現在に至っても十分には知識とし得ていません。そして、日々の食事においては、“美味しさ”ということが品目を選択する際のもっぱらの決め手とされています。

このようなこともあって、知らぬこととは言え、慢性病の仕かけた罠に、次から次へと自らはまり込んでいってしまっているのです。したがって、このような罠の存在およびそのメカニズムを知識とし得るということは、慢性病の予防と治癒において、極めて大きな成果が期待できるようになるということを意味するのです。

但し、いかに良いとわかっていることであっても長期にわたる節制は、よほど強い克己心がないとなかなか困難であるというのが実態です。そこで、せめて両発作発症に対する危惧が生じそうだと感じたとき、さらには、危惧が既に現実のものになったと感じたときの食事ぐらいは、美味しさばかりを優先させるのではなく、両発作の根本原因物質が生じるのをあらかじめ防ぐべく、本気になって厳しい節制に努めてほしいと私としては強く願っているのです。

※本記事は、2020年3月刊行の書籍『殺人うんこ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。