Ⅰ.人間の最大の死亡原因は何か?

1 罹患原因の存在しない病気はない

まず何よりも忘れてならない肝心なことは、この世で起こる出来事はすべて、起こるに際しては必ずその原因が存在し、その結果として初めて生じるものであるということです。

すなわち、この世が因果で律せられていることは、この世をこの世たらしめている基盤の法則であって、このことは病気発症に関しても例外なく当てはまることであるのです。

したがって、それぞれの病気の根本原因が詳らかになれば、従来よりも遥かに優れた、時に信じ難く感じられることさえあるほどの治癒成果を獲得することが可能となるのです。

一般の人々の多くは、今現在、「医学は素晴らしく進歩・発達した」と思っておられることと推察されます。確かに、数十年前に比べて、医学が長足の進歩を遂げたことは間違いありません。しかし、未だ容易に治せないでいる数多くの病気が存在するという実状にあることを直視するとき、そこには進歩する余地が非常に大きくあることも事実なのです。

もし、例えば、ある病気の根本原因を知ることを通じて、その病気に罹患するに際しての罠の存在と、その罠のメカニズムに関する情報とを知ることができれば、その病気の予防、さらには、たとえ罹患してしまった場合でもそれを治癒することが、従来よりも遥かに容易になるであろうことは、皆さんにも十分ご理解いただけると思います。

さて、現代医学で原因未解明とされている数多種類がある病気の中で、より数多くの人命を奪っている病気の根本原因が解明できましたならば、救命できる人間の数は非常に莫大なものが期待できるはずです。

ところで、ご承知のとおり今日の我が国の死亡原因のトップはガン(悪性新生物)ですから、日本人の中には、「他の国々でもガンが死因のトップなのだろう」と思っている人が結構いらっしゃるのかもしれません。

ところが、“先進国”と呼ばれている欧米諸国すべてにおいて、死因のトップは心臓疾患なのです。また、同じく血管系の障害という共通の原因を持つ病気として脳血管疾患(脳溢血や脳梗塞、くも膜下出血)がありますが、これも各国で死亡率順位の上位にあります。

これら心臓疾患および脳血管疾患は共に、専門用語で「循環器系疾患(循環器とは心臓を含めた全身に及ぶ血管系組織のこと)」と呼ばれている範疇(はんちゅう)の病気であって、欧米各国における年間死亡者総数の中の実に約60%もの人々が、この種の諸病で亡くなっているのです(今日の循環器系疾患による死亡者数は、全世界では1日平均7万人台で、その年間死亡者総数は2700万人前後に達する。

そして、今から20年弱後までには循環器系疾患による1日平均の死亡者数は約10万人に達するだろうと予測されている。なおWHO〔世界保健機関〕が2017年2月に発表した報告では、2015年度における全世界のガンによる死亡者数は880万人で、これは、循環器系疾患による死亡者数の3分の1ほどに過ぎない)。

※本記事は、2020年3月刊行の書籍『殺人うんこ』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。