2章 第一の関門――筆記試験への挑戦

9 子どもの食と栄養

食に配慮を要する子ども

「保育所保育指針」や「保育所保育指針解説書」「保育所における食育に関する指針」では、食に配慮を要する子どもについて触れている。

1.体調不良の子どもへの対応:

体温を測り、子どもの体調を把握して、看護師や調理師と話して、食材・調理の工夫、水分補給を行う。必要に応じて嘱託医やかかりつけ医の指示を受ける。また保護者との連携も大事である。

2.食物アレルギーの子どもへの対応:

食物アレルギーについては、保護者からの申し入れがある場合でも、安易に制限食や除去食に走らず、嘱託医やかかりつけ医の指導・指示を受けることが大事である。

私の勤務する保育所では、調理師の先生が作った食品リストを保護者に配布し、自宅等で食べて問題なかった食品、問題があった食品を明確にしてもらっている。

それに基づき、食物アレルギーのある子どもの名前とカラー写真とアレルギー食品名のカードを毎回、専用のトレイに乗せて間違いのないようにしている。これはいつも担当している保育士が休みの時に、代替の保育士がミスを防ぐ狙いがある。

食物アレルギーの子どもには、代替食材を提供しているが、調理師の先生から昼食やおやつの台車を引き継ぐ際は、食物アレルギーのリストで再確認している。ちなみに私の担当する組には、甲殻類のアレルギーの子どもと、イクラのアレルギーの子どもがいる(二〇一七年三月時点)。

3. 障害のある子どもへの対応:

障害のある子どもは、咀嚼機能、嚥下機能、手指の運動機能などに課題がある場合があるので、医療機関などの専門医、かかりつけ医の指導・指示を受け、また保護者との連携を密にして、適切な対応をする。

4. 延長保育や夜間保育の子どもへの対応:

保育時間が長くなり、子どもに夕食を提供する場合があるが、子どもの生活状況や健康状況、栄養状況を見て、一日の総食事量から妥当な夕食の栄養量を提供するが、柔軟性も大事である。ちなみに私の勤務する保育所では、一九時一五分以降も預かる子どもには夕食、一九時一五分までお預かりする子どもには、軽めの補食を提供している。

5. 宗教食などの特別対応が必要な子どもへの対応:

国際化に伴い、保育所にも、外国籍の子どもが入所してくる。その中には特定の食材が食べられない人々がいて、その家族の子どもたちも特別な対応が求められる。

私の担当する組には、イスラム系の子どもが二人いて、一人は豚肉および豚肉に関係する食材(油やエキスを含む)は一切、口にすることができない。もう一人は、もっと厳しく、一切の肉および肉に関係する食材は一切、口にすることができない。

魚や豆腐などの代替食で対応するが、食物アレルギーの子どもと同様に、名前と写真と対象の食品を書いたカードを専用のプレートに乗せ、ミスが起きないようにしている。

数名の子どものために特別食をつくらねばならないのは調理師にとっても大きな負担ではあると思うが、グローバル化が進む現在、乗り越えなければならない挑戦であろう。

このように、保育所では多様な保育ニーズに応えられるように、保育士はもちろん、園長、看護師、調理師、事務が一体となって情報を共有し、連携して対応している。

「子どもの食と栄養」を学んで

この科目は、本当に苦労した。「子どもの保健」と同様に暗記しなければならない項目が実に多いが、保育所に入ってみると、有益な情報が多く役に立った。

乳児期の食生活では、抵抗力が弱いので食中毒に注意する。授乳後の排気と姿勢に注意が必要である。離乳も健康状態と咀嚼・嚥下機能に合わせて進める。

幼児期の食生活では、食事は楽しい雰囲気で食具を使い、自分で食べる気持ちが大事である。幼児期は成長期なので、エネルギー、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、水分を十分とる。

食育とは、日本国民一人ひとりが食について意識を高め、自然の恩恵や農業・漁業従事者などの生産者などの食にかかわる人々への感謝の気持ちを持ち、食に関する知識と判断力を身につけることで、心身の健康を増進し、健全な食生活を実践できるようすることである。

保育所でも、厚生労働省の定めた指針の中で、食育を実践する子ども像を目指している。具体的には、お腹がすくリズムの持てる子ども、食べたいものや好きなものが増える子ども、一緒に食べたい人がいる子ども、食事づくりや準備にかかわる子ども、食べものを話題にする子どもである。

※本記事は、2018年8月刊行の書籍『じーじ、65歳で保育士になったよ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。