2章 第一の関門――筆記試験への挑戦

9 子どもの食と栄養

幼児食の献立

幼児向けの献立を考えるにあたり、次の点を考慮すべきである。

安全が第一である。安全であるべき食材に思わぬ物が混入していることがあってはならない。私の勤務する保育所では昼食もおやつも調理師によって調理され、昼食やお茶や牛乳も園長や保育士などによる試食や試飲がなされている。

幼児は抵抗力が弱く食中毒や感染症にかかりやすい。調理・配膳時の衛生に留意する。

一人ひとりのアレルギーについて把握し、あぶない素材は除去するか、代替品にする。

新鮮な旬の食品を取り入れ、いろいろな食品を徐々に経験させる。

献立は「六つの基礎食品」や「食事バランスガイド」を参考に主食、主菜、副菜、牛乳・乳製品、果物をバランス良く組み合わせる。

地域の食材を取り入れ、献立に日々変化をもたせる。調理師の協力が大事である。

水分補給を十分に行う。昼食や間食以外にもこまめに水分補給は必要である。

幼児は、咀嚼機能や消化吸収機能が未発達で、一日三食の食事だけでは十分な栄養を摂取できず、間食が必要である。三歳未満児は間食二回、三歳以上児は間食一回である。

[図表1]「六つの基礎食品」 出典:農林水産省
[図表2]幼児向け「食事バランスガイド」 出典:東京都福祉保健局

幼児の食生活の問題点

幼児期の食生活には、好き嫌い、偏食、むら食べ、遊び食べ、散らかし食べなどの問題があるが、これらは正しい生活習慣が身についていないことや、集中力が続かないこと、手や指などの発育・発達が未熟であることに起因することが多い。

平成二七年度の乳幼児栄養調査では、保護者が現在子どもの食事で困っていることのトップ三は、食べるのに時間がかかる、遊び食べをする、偏食をする、である。この三つの問題は、私の担当する組でも毎日悩まされる課題であるが、徐々に改善している。

幼児に悪影響を与える食事の問題

第一に、朝食を食べない子どもの問題がある。朝食は一日のエネルギーを供給するということで大事である。しかし保護者の生活パターンが夜型になることで、子どもも夕食が遅くなり、就寝時間も遅くなる。そして起床時間も遅くなり、朝食を食べる時間もなくなる。

第二に、間食をとりすぎの子どもの問題がある。間食をとりすぎることで、食事の量が少なくなる恐れがある。またチョコレートや甘味飲料、スナック菓子のとりすぎは、甘みや塩分が多くなり、刺激性や興奮性の強い食品が多い。また虫歯の原因にもなりやすい。

第三に、孤食の子どもの問題がある。孤食とは、家族と一緒の食事ではなく、子ども一人だけで食事をとること。両親が共働きで夕食時に間に合わないとか、ひとり親で夕食に帰宅できないとか、子どもだけで食事をとること。孤食では会話もなく、食事を楽しむ雰囲気が形成されない。

五大栄養素と消化酵素

人間の身体のエネルギー源となるのが三大栄養素と言われる、たんぱく質、糖質、脂質である。三大栄養素にミネラル、ビタミンを加えたのが、五大栄養素である。五大栄養素には、エネルギー源となる、身体の組織を構成する、身体の機能を調整するなどの働きがある。

三大栄養素を分解する消化酵素は人間が生きていく上で重要であり、口腔、胃、小腸、膵臓で作られる。この三大栄養素と消化酵素の関係は、筆記試験でもよく出題される傾向にある。

たんぱく質とは

たんぱく質は炭素・水素・酸素・窒素で構成されている。たんぱく質は、約二〇種類のアミノ酸が結合したもので、体内で合成されないアミノ酸を必須アミノ酸と言い、動物性食品に多く含まれる。

たんぱく質の栄養価を評価する基準としてアミノ酸価が使われている。数値が高いとたんぱく質として良質であり、不足するアミノ酸がない食品はアミノ酸価が百である。卵と牛乳はすべての必須アミノ酸価が百以上なので、完全食品という。

糖質とは

糖質は炭素・水素・酸素で構成されていて、米や小麦などの穀類、いも類、豆類、果物などに多く含まれる。糖質が体内でエネルギーとして利用されるには、ブドウ糖などの単糖類に分解される必要がある。

糖質を分解するには消化酵素がいるが、唾液アミラーゼや、膵アミラーゼ、マルターゼ、スクラーゼ、ラクターゼなどの消化酵素が機能する。エネルギーとして使われなかった余った糖質は肝臓でグリコーゲンに変換され、肝臓や筋肉に貯蔵される。逆に体内でブドウ糖が足らなくなると、ホルモンであるグルカゴンにより、グリコーゲンはブドウ糖に分解される。

※本記事は、2018年8月刊行の書籍『じーじ、65歳で保育士になったよ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。