2章 第一の関門――筆記試験への挑戦

8 子どもの保健

保育所における衛生と安全の環境整備

子どもが活動する各部屋(保育室・乳児室・トイレなど)の温度・湿度を測定し、一定の温度・湿度を保つよう配慮すべきである。実際、私の勤務する保育所では、各部屋に温度・湿度計を設置し、保育士は常に温度・湿度計をチェックし、日報にも朝、昼、夕の温度・湿度を記録し、報告している(現在は紙でなく、タブレットを使用している)。

各部屋の換気も大事で、一時間ごとに換気が好ましい。締め切った部屋でエアコンを使い続けると、空気が汚れる可能性があるためだ。

私の勤務する保育所は、公園への散歩など外出する場合は必ず、帽子をかぶることが徹底されているし、夏の水遊びの際には、プールの上面に覆いをセットし、子どもたちに日光が直接に当たらないように配慮している。

また事故防止の観点から、階段などには子ども用にてすりを設置し、部屋のくぎや金具は危険なので、チェックが大事である。さらに保育士を含め全職員はボタンがある衣服は禁止している。取れた場合、ボタンを子どもが飲み込むことを避けるためだ。

火災対策として、消化器を廊下などに配置するだけではなく、二方向避難ができるように避難路の確保と、火災避難訓練などを子どもたちも交えて定期的に行う。不審者や野犬などが保育所に侵入しないよう、出入り口は一カ所にして、他は施錠している。

保育所の衛生管理

子どもは体力もなく、免疫も弱いため、感染症などにかかりやすい。そのために、全職員は手洗いの励行、清掃の徹底が求められる。保育室はフローリングが望ましく、毎日、掃除機をかける。

保育室の棚、机、椅子、床は毎日、拭き掃除を行い、玩具や床は週一回、消毒する。子どもたちのトイレも毎日、交代で掃除して清潔さを保つ努力をしている。また病気の予防のため、私の勤務する保育所では、毎月検便を全職員が行い、食中毒対策を実施している。また、食中毒や食事に異常がないか、昼食の前に、同じメニューを園長か代行者が検食している。

子どもたちには、衛生指導を徹底し、トイレのあとと食事やおやつの前に手洗いをさせているが、必ず、流水と液体せっけんで手洗いさせている。また子どもたち向けに、看護師による手洗い講習会も実施し、子どもたちの理解を深めている。

全職員は、衛生管理の観点から、清潔な専用のエプロンを着用し、汚れた場合はすぐに清潔なエプロンに交換する。食事時やおやつ時は別の食事専用のエプロンとバンダナを着用する。エプロン、食事用エプロン、バンダナは必ず毎日洗濯する。

感染症については、日ごろから対策を立てておき、消毒液や汚物処理が迅速にできるようにする。早期発見と素早い対応が、二次汚染を防ぐ。汚物処理の保育士は使い捨て手袋を使うことが求められる。また感染症が発生した場合は、毎日、保育所の入り口にクラス別の感染症名と、感染児童数を掲示すると保護者にも注意が喚起できる。

事故防止と避難訓練

事故発生時に、保護者や保育士が近くに居たにもかかわらず、目を離していたために事故が起きたというケースが多い。次の記事は保育所のプールでの溺死の記事で、痛ましいかぎりである。

さいたまプール女児死亡、地元で評判の保育園
園長や保護者ら目を押さえ泣く「人員不足改善で防げたのか」
埼玉新聞 二〇一七年八月二五日

埼玉県さいたま市緑区大間木の認可保育所「社会福祉法人こぐま会めだか保育園」のプールで浮いているのが発見され、意識不明の重体となっていた女児(4)は25日未明、搬送先の病院で死亡が確認された。浦和東署が明らかにした。同日夜に行われた保護者説明会の出席者によると、保育園側は「プールの滑り台を片付けている時に子どもから目が離れた」と説明した。

一夜明けた25日朝から県警捜査員らが現場で実況見分を行い、園庭に設置されたプールに入って深さなどを測っていた。(後略)

子どもたちをプールに入れて、水の深さはわずか五〇センチだったらしいが、二人の保育士がプールの滑り台の片づけの最中に起きた。本来は、プールが終わってから片づけが順番だろうが、仕事の効率を考えて、子どもたちがまだプールで遊んでいる時に作業を始め、子どもたちを見守るべきことがおろそかになったのだろう。子どもの安全と仕事の効率。もちろん子どもの安全が優先されるべきだ。私も保育士の一人として他人事ではない。

また、交通事故対策も大事である。子どもたちと公園への散歩の際に、道路で車とすれちがったり、大きなバス通りを渡らなければならないこともある。正しい交通ルールを子どもたちに教えたり、道路の歩き方や車やバイクのやり過ごし方を指導している。また各種の災害から子どもたちを守るために、毎月一回、職員と子どもたち全員で避難訓練をする。

地震や火災などを想定して保育士は救急セットを入れたナップザックに背負い、ヘルメットをかぶり、子どもたちも防災頭巾や帽子をかぶって避難する。避難場所で保護者に子どもたちを引き渡す訓練も別途行われる。

「子どもの保健」を学んで

子どもはその未熟性のために病気にかかりやすく、事故にも遭いやすい。したがって、保育士の責任は重い。子どもの健康づくりのために、子どもにとって安全な環境づくり、子どもの情緒の安定を図る、子ども一人ひとりに合わせた健康づくり、毎日の生活のリズムに合わせる、遊びを通して健康づくり、家でも健康づくりに邁進する、などに配慮する。

また、子どもの健康異常で気になることがあった場合は、直ちに体温を測ったりして、異常があるかどうかの確認が大事だ。例えば、いつもの元気があるか、昼食やおやつに食欲があるか、普通の泣き方と異なるか、お昼寝ではよく寝ているかなどである。

子どもの疾病や感染症、発達障害、精神障害の症状や対応について、保育士はよく理解する必要がある。特にSIDSについては原因不明でもあり、注意が必要である。また感染症対策のため消毒・手洗いの励行は絶対に重要である。

保育所での衛生管理は必須であり、子どもたちの事故防止に細心の注意が必要である。また火災や地震などを想定した避難訓練の毎月の実施は大事である。保育所に勤務する時に大変役に立つ「子どもの保健」である。

※本記事は、2018年8月刊行の書籍『じーじ、65歳で保育士になったよ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。