2章 第一の関門――筆記試験への挑戦

7 保育の心理学

「保育の心理学」の勉強の工夫

筆記試験の六科目目は「保育の心理学」で、乳幼児の発達の特徴や乳幼児の保育上の配慮事項について必ず出題される。そして乳幼児の育ちに大きく影響を与える「環境」の重要性についても問われるので、よく理解しておく必要がある。子どもの発達を決める遺伝的要因や環境的要因などの諸説も出題されるだろう。

また乳幼児の身体的機能や運動機能や言語の発達については、必ず出題されるので、時間をかけて理解しておくことだ。同時に、乳幼児の基本的生活習慣(食事・睡眠・排泄・着脱衣・清潔)の年齢別の目安も出題されやすい。覚えやすいように乳幼児の年齢別・月齢別カレンダーを作るのも一つの工夫だ。

実際に、子どもを出産し、育てた経験がある人なら、これらについて納得しながら整理しやすいだろう。「保育の心理学」は試験のためというより、保育士として子どもたちと日々、接する上で必要な知識であるので、前向きに取り組むと良いだろう。

発達とは

「保育の心理学」では「発達心理学」の理解が必要となる。発達とは、母親の胎内にいる時から始まり、人間の心身の機能や構造の変化をいう。発達には量的な変化と質的な変化の両面がある。

また、発達は乳幼児が大人へと成長する時の増加・上昇的な変化と、大人から高齢者へと進む時のように減少・下降的な変化もある。乳幼児は日々、発達しており、保育士は乳幼児の発達についてよく理解して、その保育に配慮していかなければならない。

乳幼児期の発達の特徴

乳幼児期の発達には、四つの特徴があり、保育士は発達の主体は子ども自身にあるということを十分に理解する必要がある。自分が保育士になって、毎日の保育の中でこの四つの特徴については実感するところである。

まず乳幼児期の発達は急速に進むこと。身体面、運動機能、認知、情緒、社会性など著しい発達がある。年齢より月齢で考えた方が良いこともあり、日頃の子どもの観察は大事である。昨日できなかったことが突然できることがある。

次に乳幼児期の発達は環境から影響を受けやすいこと。特に人的環境の影響は大きい。だから保育士の責任は大きく、子どもは保育士の発言や行動をまねようとすることが多い。

そして乳幼児期は人間形成の基礎が作られる時期であること。「愛育」と呼ばれる心の絆が重要である。保育士の子どもへのスキンシップの効用は大きい。

最後に乳幼児期は発達について個人差が大きいことも特徴である。一人の子どもでも発達の速度は一律ではない。保育士は、乳幼児期の子どもと接し、子ども自身が持つ育つ力を援助し、子どもが何を願い、何を求めているかをよく見極め、子ども自身が伸びようとする力に応えていくことが大事である。これを言うのは簡単だが、常に実行していくのはなかなか難しい。

環境の重要性

保育にあたり子どもが接する環境の重要性が繰り返し強調されるが、自分が保育士として考えるに本当に環境は大事である。乳幼児期の子どもは環境とのかかわりの中で学び、育っていく。環境には、保育所での人的環境、物的環境、自然・社会環境などがある。

人的環境とは、保育士、看護師、調理師、他の子どもたちであるが、特に保育士の役割りが大きく、保育士と子どもたちの信頼関係は重要である。

また物的環境とは、保育所の園舎や保育室の構成・配置、遊具・用具・絵本・紙芝居などで、子どもたちは遊びを通して学び、物的環境はその育ちを助ける。そして自然・社会環境とは、保育所の園庭や近隣の公園、街並みや公共施設などを含む。公園への
散歩で、とんぼを追いかけたり、どんぐりの実を拾ったりする子どもたちもいる。

保育士としての子どもへの配慮事項

「保育所保育指針」は、保育の向上と充実を図るガイドラインであり、保育の実践上の心理的な配慮事項についても参考にすべきである。

まず、子どもたちは、それぞれ心身の発達など個人差がある。保育士はそれを認識したうえで、一人ひとりの気持ちに寄り添い、支援する。次に、子どもの健康は、その育ちとともに、自主性・社会性・豊かな感性などとともに影響されることを保育士は理解する。そして子どもが自主的に周りに働きかけ、自ら試行錯誤する様子を、保育士は見守る姿勢と適切な支援が大事である。

乳児への保育上の配慮事項

乳児は疾病への抵抗力が弱く、心身の機能が未熟で疾病の発生も多く、一人ひとりの発育状態や発達状態、健康状態により保育士は適切な判断に基づく保健的な対応をする。また、保育士は乳児保育について職員間の連携や嘱託医との連携を図り、健康や安全に配慮し、適切に対応する。

栄養士や看護師等はその専門性を生かした対応を図る。そして保育士は保護者との信頼関係を構築しつつ保育を進める。また保育士は保護者の相談に応じ、その支援に努める。

一、二歳児への保育上の配慮事項

一、二歳児期は感染症にかかりやすい時期であり、保育士は子どもたちの体調や機嫌、食欲などの状態をよく観察する。また適切な判断により保健的な対応を心掛ける。そして、保育士は、子どもにとって探索活動が十分にできるように活動しやすい環境を整える。

事故防止に努めながらも、全身を使う遊びなど様々な遊びを取り入れる。また、保育士は子どもの自我の育ちを見守り、その気持ちを受け止めるとともに、保育士が仲立ちとなり、友達の気持ちや友達とのかかわり方を丁寧に伝えていく。

最後に、保育士は子どもの情緒の安定を図りながら、子どもの自発的な活動を促す。

※本記事は、2018年8月刊行の書籍『じーじ、65歳で保育士になったよ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。