2章 第一の関門――筆記試験への挑戦

6 社会福祉

社会福祉を支える仕組みや実施機関

私は社会福祉を支える仕組みについて知らなかったことが多い。社会福祉についての都道府県と市町村の立ち位置の違い、福祉事務所と児童相談所の仕事の分担など、全く理解していなかった。このうち、国、都道府県・政令指定都市、市町村、福祉事務所、児童相談所については、「社会的養護」で既に触れた。

  1. 国:厚生労働省
  2. 都道府県・政令指定都市
  3. 市町村
  4. 福祉事務所
  5. 児童相談所
  6. 婦人相談所:女性のいろいろな問題の相談に応じ、調査や判定を行い、指導や一時保護をする。都道府県には設置が義務付けられている。職員は婦人相談員が対応する。売春防止法やDV防止法についても取り扱う。
  7.  社会福祉法人:社会福祉事業を行うことを目的として設立された法人で、社会福祉法に規定されている。また条件付きで公益事業も認められている。社会福祉法人が運営する保育所も多いので、そのねらいや事業について理解しておく必要がある。
  8. 社会福祉協議会:民間による社会福祉活動を推進することを目的とした民間組織であり、社会福祉法によって定められている。より良い福祉制度作りや、福祉サービスの向上の取り組みなど幅広く活動している。
  9.  民生委員と児童委員:民生委員は、福祉行政についての民間の協力者であり、民生委員法により、都道府県知事の推薦を受けて厚生労働大臣が委嘱し、三年任期で、無給である。民生委員は、地域住民の生活状況を把握し、相談・助言・援助を行う。また福祉サービスについて情報の提供や援助を行い、社会福祉事業者・福祉事務所・行政と連絡を密にし、協力・支援する。民生委員は、児童委員を兼務する。

児童委員は、児童や妊産婦について生活状況など把握し、福祉サービスについて情報提供・援助・指導を行う。また児童相談所や福祉事務所の職務に協力する。二〇〇一年に主任児童委員が制定され、主任児童委員は、児童福祉を行う機関と児童委員の連絡調整や児童委員への援助・協力を行う。

私自身、近隣の子どもに対する虐待容疑を発見して児童委員や主任児童委員に通報したことがあり、それ以来、懇意にさせていただいている。

情報公開の重要性

社会福祉法では、社会福祉事業の経営者は福祉サービスの利用しようとする者が適切かつ円滑にサービスを利用できるように、その経営する社会福祉事業に関し十分な情報提供を行うよう努めなければならない。また国や地方公共団体は、福祉サービスを利用しようとする者が必要な情報を容易に得られるように、必要な措置を講ずるよう努めなければならないと規定している。

さらに社会福祉法では、福祉サービス利用者の利益の保護や不正競争防止の観点から、福祉サービスの内容・費用・契約解除・事業者の資力・実績などの項目について、誤解を招く誇大広告を禁止している。

例えば保育所での死亡事故の情報がなかなかオープンにされなかったり、また地方公共団体も積極的に事故のあった事業者について情報をオープンにしなかったり、そして保護者が不安を抱えるにもかかわらず、仕方なく保育所に子どもを通わせていることが現実にある。保育所の本質的な質の向上の観点からも一刻も早い正確でタイムリーな情報公開が求められる。

一方、個人情報保護法によって、生存する個人に関する情報のうち氏名や生年月日など個人を識別できる情報の保護が規定されている。

第三者評価と結果の公表

社会福祉法では「社会福祉事業の経営者は、自らその提供する福祉サービスの質の評価を行うことその他の措置を講ずることにより、常に福祉サービスを受ける者の立場に立って良質かつ適切な福祉サービスを提供するよう努めなければならない」と明記している。

第三者評価の基準は、「福祉サービス第三者評価基準ガイドライン」に基づき、各都道府県の推進組織が策定する。実際には、社会福祉事業の経営者と従業員から書面での調査とヒアリングを実施し、サービスの利用者またはその家族からの調査を実施する。調査結果は、「福祉サービス第三者評価結果の公表ガイドライン」に基づき公表される。

社会福祉事業者は公表結果に基づきサービス改善計画を作成し、実行する。一二の児童福祉施設のうち、乳児院、母子生活支援施設、児童養護施設、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設の五つは第三者評価と公表が必須であるが、保育所については第三者評価と結果の公表は義務ではなく、努力義務である。

「社会福祉」を学んで

現在の日本の社会福祉は、基盤となる社会福祉法と、福祉六法と言われる生活保護法、児童福祉法、老人福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法を中心に支えられている。

また日本の社会福祉を支える仕組みや実施機関は、国、都道府県・政令指定都市、市町村、福祉事務所、児童相談所、婦人相談所、社会福祉法人、社会福祉協議会、民生委員・児童委員などであるが、それぞれの役割りや制度、権限などについて、よく理解できて良かった。

社会福祉法では、社会福祉事業者が、その福祉サービスを利用しようとする者が適切かつ円滑にサービスを利用できるように、その経営する社会福祉事業に関し情報提供を行うよう努めなければならない。また個人情報保護法により、生存する個人に関する情報のうち氏名や生年月日など個人を識別できる情報の保護が規定されており、個人情報の取扱いに十分な注意が必要である。

第三者評価と結果公表については、乳児院、母子生活支援施設、児童養護施設、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設は義務である。なお保育所については、第三者評価と結果公表は、努力義務であると理解できた。

※本記事は、2018年8月刊行の書籍『じーじ、65歳で保育士になったよ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。