2章 第一の関門――筆記試験への挑戦

6 社会福祉

日本における社会福祉の歴史

我が国における社会福祉は、なんと六世紀から始められていたことに驚いた。具体的には五九三年、聖徳太子(厩戸皇子)が仏教の影響で孤児や貧困者、病者のために救済事業を始めた。八世紀には、戸令(こりょう)制度が制定され、孤児や高齢者、障害者などが救済され、また凶作や災害対策として倉庫に穀物が貯蔵された。

江戸時代には五人組制度で近隣五軒を一組として助け合う制度が設けられた。明治時代になり、貧困者や無職の武士が大量に発生し、明治政府は養育米支給や孤児や身寄りのない重病人や高齢者を救済した。一方、石井十次や石井亮一などの篤志家たちが次々と救済事業を始めたことに驚くとともに感動した。

大阪で民生委員の前身である方面委員制度が創設され、全国に広がった。関東大震災や世界恐慌のために、大量の失業者や貧困者が街にあふれ、一九二九年に救護法が施行され、日本でも公的扶助(生活扶助、医療扶助、助産扶助、生業扶助)が規定された。

社会福祉の制度と実施機関

現在の社会福祉の制度を支える主要な法律として、社会福祉法と福祉六法と言われる六つの法律がある。福祉六法とは、生活保護法、児童福祉法、老人福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法である。

実は私自身、保育士の勉強を通して初めて福祉六法を知った。福祉六法はその制定後、時代の変化に伴い、適宜見直しや改善がなされている。筆記試験の「社会福祉」では、社会福祉法と福祉六法がよく出題されるので、内容をよく理解することが大事である。

1. 社会福祉法:

日本の福祉の基礎となる法律で、社会福祉事業の範囲や社会福祉法人、福祉事務所の役割と仕事、社会福祉協議会の役割と仕事について規定している。また社会福祉法では、社会福祉事業を第一種社会福祉事業と第二種社会福祉事業とに大別している。第一種社会福祉事業とは社会性と公共性が高い社会福祉事業で、原則として国、地方公共団体または社会福祉法人だけが経営を許可されている。

児童家庭福祉分野の具体例としては、乳児院、母子生活支援施設、児童養護施設、障害児入所施設、情緒障害短期治療施設、児童自立支援施設があり、入所施設が大半である。第二種社会福祉事業とは株式会社や社会福祉法人などが経営し、原則として都道府県知事への届け出があれば、設立できる。

児童家庭福祉分野の具体例としては、保育所、児童厚生施設、一時預かり事業、幼保連携型認定こども園などが該当し、通所施設が多い。

2. 生活保護法:

国民の最低限度の生活水準を国が保障し、国の責任が明確にされ、教育扶助や住宅扶助など制度が充実された。公的扶助の公務員として社会福祉主事が設けられ、民生委員は生活保護行政の協力機関の位置づけになった。

3. 児童福祉法:

児童の福祉の充実のために、児童相談所や児童委員も設置され、児童手当法や児童扶養手当法なども制定された。

4.  老人福祉法:

日本は高齢化社会(六五歳以上が全人口の七%以上)から、高齢社会(一四%以上)へと進み、そして現在は超高齢化社会(二一%以上)に突入して、老人福祉の充実が図られてきている。

5.  母子及び父子並びに寡婦福祉法:

旧来の母子福祉法から名称も変更・改善が図られ、母子家庭にとどまらず一人親家庭と寡婦への福祉の充実が図られた。

6. 身体障害者福祉法:

リハビリテーション、ノーマライゼーションの理念に基づき、障害者も健常人との共生社会の実現を目指した。

7. 知的障害者福祉法:

精神薄弱者福祉法が知的障害者福祉法に変更・改善が図られた。

※本記事は、2018年8月刊行の書籍『じーじ、65歳で保育士になったよ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。