【前回の記事を読む】【童話】たまごから生まれた、一羽の大きくて灰色のアヒルは…

となりのマッチ売うりの少女しょうじょ　むねがぽかぽか

 

むかしむかしのおはなしです。あるところに、マッチを売うる小ちい小ちいさな女おんなの子こがいました。今日きょうは、一年いちねんのおわり、おおみそかの夜よる。町まちを歩あるく人ひとたちは、みんないそがしそう。あたりはまっくら、しんしんと雪ゆきがふっています。

「マッチはいりませんか、マッチはいりませんか……」

けれど、町の人は、なかなか足あしを止とめてくれません。

「マッチを売って、食たべものを買かって帰かえらなくちゃ」

家いえでは、病気びょうきのお父とうさんがまっています。

「さむいなあ、おなかもへったなあ」

女の子は、ふるえだしました。体からだは、どんどん冷つめたくなっていきます。

「そうだ、マッチであたたまろう」

女の子は、だめだと思おもいながら、マッチを1本ぽんすりました。小さなほのおが広ひろがります。すると……目めの前まえに、大おおきなストーブが出でてきました。

「あたたかい！」

女の子は、りょう手てをのばしました。でも、マッチのほのおが消きえると、ストーブも消えてしまいました。女の子は、もういちどマッチをすりました。すると……目の前に、おいしそうなパンや、スープ、そして、大きなガチョウの丸まるやきが出てきました。

「おいしそう！」

女の子は、りょう手をのばしました。でも、マッチのほのおが消えると、食べ物ものも消えてしまいました。女の子は、もういちどマッチをすりました。すると……大きな大きなクリスマスツリーが出てきました。女の子が見上みあげていると、クリスマスツリーの星ほしかざりが、キラキラとまい上がり、星空ほしぞらになりました。すると、ながれ星がひとすじ、目の前が明あかるくなりました。

「あっ！　おばあちゃん！」

それは、大好だいすきだったおばあちゃんでした。

「だいじょうぶ。みんな、あなたが大好きよ」