客席に戻って、ぐったり椅子に沈んだ。隣に安藤君が座った。「どうだった?」顔を寄せて小さな声で訊いてきた。「課題曲の最初の所、音が出なかった」小さな声で答えたら、「膝ががくがくして立っているのがやっとだった。バスドラのばちが汗で滑って落ちそうだった。先生に注意されたことなんてみんな忘れて真っ白になった」耳に顔を寄せて囁いた。二人でため息をついた。演奏の合間に、客席で聴いていた一年生と卒業生が、結構…
[連載]千恵ねえちゃん
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小説『千恵ねえちゃん』【第14回】城 唯士
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小説『千恵ねえちゃん』【第10回】城 唯士
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小説『千恵ねえちゃん』【第9回】城 唯士
驚いた!千恵姉ちゃんがいじめられていたなんて信じられなかった。
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小説『千恵ねえちゃん』【第8回】城 唯士
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小説『千恵ねえちゃん』【第7回】城 唯士
両親を亡くした少年の喜び「これからはここにずっといればいいんだ」
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小説『千恵ねえちゃん』【第6回】城 唯士
「急に、すごく、お父さんとお母さんに会いたくなって」もう誰もいない空っぽの部屋
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小説『千恵ねえちゃん』【第5回】城 唯士
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小説『千恵ねえちゃん』【第4回】城 唯士
交通事故で両親を亡くした兄妹。ふさぎ込む少年に千恵姉ちゃんがかけた言葉
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小説『千恵ねえちゃん』【第3回】城 唯士
父の“居眠り運転”のワケに気づいた息子「頬が固まって動かなくなった」
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小説『千恵ねえちゃん』【第2回】城 唯士
大きな音と衝撃で目が覚め…事故直後の「変わり果てた車内」
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小説『千恵ねえちゃん』【新連載】城 唯士
両親を亡くした小学生の兄妹…僕たちのそばにいてくれた“千恵姉ちゃん”