マーケット

バルセロナでの目的を果たした私達は明朝マドリッドに向かう。今夜はバルセロナの海産物料理を楽しむことにしようと決めていたので、次に向かったのはホテルに程近いサンジョセップ・マーケットだ。ここは娘がどうしても行きたいと決めていたところだ。

確かにマーケットは、日本でもそうだが、とても人間臭く生活感溢れるところである。そこは喧騒そのものが、訪れる人々を楽しませるところだった。いろどりよく陳列された野菜、果物、ナッツ類、香辛料、魚介類、肉類、オリーブの漬物、何と楽しいところだろうか。

日本でも年末になると界隈に市が立ち多くの人で溢れるが、バルセロナのマーケットはいつもこんな感じで賑わっていた。マーケット内をひと巡りして足を止めたのは海産物料理店の前。威勢の良いのは日本の魚屋さんと同じだ。カウンターの前には色々な言葉を話す外国からの観光客が溢れていた。その中に私達も交じってやっとの思いで三人分の席を確保した。

座るなり大きな伊勢えび(ここではランゴスタという)を見せて「これを食べて」と売り込まれた。日本でも高いがバルセロナでもさすがに伊勢えび(いや、ランゴスタ)は高い。他にも旨そうなものがいっぱいあるので、高い伊勢えびは断って色々の種類の海産物を盛り合わせた大皿を注文しビール(スペイン語ではセルベッサ)を頼んだ。

私達の隣に座ったドイツ人の女性二人(親子だと言っていた)も、私達と同じく魚介類にワインを注文していた。喧騒と色鮮やかな料理とそしておいしいビールあるいはワインがあれば、初対面でもすっかり友達になれるから不思議だ。