【前回の記事を読む】恐ろしいほどの成果…飲食店から出てきたネズミの数に驚愕

2章 開発に至った経緯とその目的

私が捕獲困難なクマネズミの捕獲具を開発しようと思い立ったのは、平成16年に在職していた会社の代表取締役に就任した後だった。

白蟻に関する仕事が先行き減少するであろうことは十分予想されていたため、ネズミの駆除を生業としている多くの業者、あるいは多くの一般の消費者が渇望しているクマネズミの捕獲具を他に先駆けて提供することができれば、大いに儲けることができるだろうと、浅はかだが、夢のある目的を持って仕掛けのアイデアを練ることから始めた。

それから10年間かけて捻り出した数々のアイデアは、販売目的で権利化できることを第一に考えていたので、試作して使ってみる度に特許の出願を行った。専売特許の権利を手にするには実用新案ではなく特許の方が重要であって、過去に類似した出願があれば特許としての権利が認められない。そのため、あまりにも単純な仕掛けでは特許になり得ず、少し複雑な独自のアイデアが必要とされた。

今までに私は国内の特許を3つ、アメリカでの特許を1つ取得したが、商品として流通しなければ役に立たない。無駄な投資になりかねないので、私個人の道楽か、あるいは趣味の扱いとして、開発にかかる費用は私個人の負担とした。

道楽にかける費用としては馬鹿にならない金額になってしまったが、こんなに面白いことを途中でやめる気にはならない。従って、取得した特許は私個人の登録になっている。個人で特許を3つ持っている人はそう多くいないだろう。密かな私の自慢であり勲章である。

出願した内容は公開されていて、見ようと思えば誰でもその内容を読むことができるのだが、私でさえ読みづらい文章になっている。仕掛けの構造は私の文章と写真で想像してもらうしかない。立体図形が苦手な人は、実物を見せて説明しても使用方法すら理解しにくいらしい。