エネルギー生産性を経営指標に

現在、企業の取締役会や経営会議等の会社の意思決定をする会議体で、省エネルギー・エネルギー効率化が主要な議題として上がることはあるでしょうか。おそらくほとんどその種の話題は、社長や経営陣が参画する会議では出てこず、現場レベルや総務部あたりに任せきりになっているのではないでしょうか。

経済産業省資源エネルギー庁が主管する「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(通称:省エネ法)」では、大規模な施設や工場には一定以上の規制が入っており、毎年定期報告書と中長期計画書の提出が求められております。また、会社全体のエネルギー消費原単位を毎年1%以上ずつ改善することも求められております。あくまで努力目標としてですが。

ただし、こうした規制に基づいた報告等においても、そのプロセスや結果を社長や経営陣が意識することはほぼないと言い切っても良いのではないでしょうか。生産技術等のエネルギー管理担当役員ですらも、あまり関心がないかと推測します。確かに、現在の省エネ法自体が、経営トップがあまり気にかける必要性がない事項であることも厳然たる事実かもしれませんが。

どうしたらもっと社長や経営陣の関心を誘うような経営指標として、省エネルギー・エネルギー効率化の推進状況を測ることができるのか。それが筆者自身のここ数年間の大きなテーマの一つでした。

そこで最近、筆者がやっと行き着いたのが、「エネルギー生産性(EP:EnergyProductivity)」という指標です。このEP指標の計算式を示します。

EP(エネルギー生産性)=売上・利益・付加価値等/エネルギー消費量

このエネルギー生産性(EP)という指標は、「エネルギー消費原単位」の単に逆数です。したがって、エネルギー消費原単位は、以下の式となります。

EG(エネルギー消費原単位)=エネルギー消費量/売上・利益・付加価値等

ここで、このEPを最も向上させるためには、分子である売上・利益や付加価値などを増大させつつ、同時に分母のエネルギー消費量を売上等の伸び率以下に抑えることです。一方のエネルギー消費原単位(EG)の改善は、分母の売上・利益・付加価値を増やせば、分子のエネルギー消費量がその比率以上に増えなければ向上することになります。