エネルギー生産性(EP)と炭素生産性(CP)の国別比較

さらに前述の諸富先生のセミナーでは、エネルギー生産性(EP:Energy Productivity)と炭素生産性(CP:Carbon Productivity)という2種類の指標の紹介があり、それらの指標が国別に比較した推移グラフによって示されました。

筆者は、この2つのグラフにもデカップリングの時と同様のショックを受けました。

ちなみに、このエネルギー生産性(EP)と炭素生産性(CP)とは兄弟指標のようなもので、2018年度実績として、わが国の温室効果ガスの排出量ベースでエネルギー起源の温室効果ガス(CO2)は全排出量の約85%となっています。

つまりEPとCPはほぼ連動していると言っても良いでしょう。

ここでエネルギー生産性(EP)について、もう少し詳細に説明します。このEP指標を再度提示しますが、次のような分数式で表せます。

EP(エネルギー生産性)=売上・利益・付加価値等/エネルギー消費量

このエネルギー生産性(EP)という指標は、かつ現行の省エネ法の管理指標となっている「エネルギー消費原単位」の逆数となることも前述しました。

このEPを向上させるための有力な方法は、まずは分子である売上・利益や付加価値などの経済指標を増大させることですが、同時に分母のエネルギー消費量を売上等の伸び率以下に抑えることで、このEP値は上昇(改善)します。

例えば、今年度売上100でエネルギー消費量100の企業があったとします。その年のエネルギー生産性は、EP=100/100=1となります。

そこで翌年度に売上100を2倍の200にしつつ、その間のエネルギー消費量100を現状のままに抑えることができれば、エネルギー生産性を2倍(EP=200/100=2)にしたことになります。

また、売上は100と現状を維持し、その間のエネルギー消費量を半分の50にしても、やはりエネルギー生産性を2倍(EP=100/50=2)にしたことになります。実際の現実的な数値は、その中間点になるでしょうが、このようにエネルギー生産性は計算します。