生態系と雑草の関係性

雑草は生態系の一員としてさまざまな生物と相互に関わっていますが、もちろん人の生活にも大きく役立っています。

その一つが雑草による土壌保全です。雑草がなければ裸地化し、降雨によって土砂が流亡してしまいます。急傾斜で雨の多い日本では、なおさらのことです。

しかし、雑草だったら何でも良いというわけではありません。例えば、ジシバリ(地縛)という多年生のキク科雑草があります。地面を縛るように根系を発達させることから名付けられた雑草です。チガヤも根系を良く発達させる雑草です。これらの雑草が傾斜地に優占すると土壌は崩壊しにくくなることから、土壌保全のために積極的に残すべき植物といえます。

また、私たちの身の周りには、重金属や石油などで汚染された場所がありますが、雑草はこれらの不良環境地の修復にも利用されています。以下に雑草を活用した不良環境修復技術と傾斜地の土壌保全について説明します。

雑草を用いた重金属汚染土壌の修復技術

世界には、塩類集積地や石油汚染地など、さまざまな不良環境がありますが、ここでは重金属汚染地に焦点を当てて、雑草による不良環境修復技術を説明します。

銅は高い耐腐食性、導電性、熱伝導率、抗菌性などから電化製品や建築資材さらには電線や硬貨などに利用されています。鉛もまた各種の合金の原料、ガス管、建築資材などに、カドミウムは電池や半導体の原料などに使われています。これらの重金属の他にも、水銀や砒素なども薬品や工業製品に利用されており、私たちの生活は重金属なしには成り立たないといっても過言ではありません。