雑草管理に関連するさまざまな事柄について

2.雑草の制御方法

次に機械による制御方法です。

トラクターによる耕耘方法には、ロータリー耕、チゼル耕、プラウ耕があります。ロータリー耕は高速回転する刃で土壌を細かく破砕する撹拌耕とも呼ばれ、作物を播種する前に畑全面で行われる他にも、作物が生育している畝と畝の間の中耕除草にも使われます。

雑草はロータリー耕で一時的に無くなりますが、土壌が撹乱されるために、むしろ埋土種子の出芽が促進されることもあります。また、地下茎や根茎などの栄養繁殖器官がロータリー耕で断片化されることにより、多年生雑草が増殖することもあります。

チゼル耕とは、土壌の排水性を改善するために先端が(たがね)状の爪で土壌を引っ掻いて溝をつける耕耘方法で、重粘土質土壌を除きあまり一般的ではありません。

プラウ耕は反転(はんてん)(こう)とも呼ばれ、撥土板と呼ばれるスプーン状の鉄製の板で土壌を天地返しする耕耘方法です。稲刈りが終わった晩秋に、プラウ耕を水田にかけることにより、土壌深くに形成されたクログワイの塊茎が土壌表面に持ち上げられ、その後の冬の寒さと乾燥に当たって枯死します。

プラウによる秋耕は除草剤でも枯れない多年生雑草の防除に有効ですが、大型のプラウは数トンにもなりトラクターへの脱着作業が面倒なために、今ではほとんど使われなくなっています。

機械除草の中で最も広く使われているのが農道、水路際、畦畔、法面などで行われている刈り払い機による除草です。地下に繁殖器官を有する多年生雑草は刈り取っても再生しますが、逆に刈り払い機は雑草を完全に枯殺させないことから法面の雑草管理に向いている方法かも知れません。

高速回転する刃がむき出しになって非常に危険なことや高齢者や女性には重すぎるなどの課題があります。ちなみに消費者庁の報告によれば、二〇〇九年から二〇一七年の九年間において一四〇件もの刈り払い機による事故が報告されています。

物理的な制御方法もあります。植物は太陽エネルギーを化学エネルギーに変換し、そのエネルギーが各種の生命維持活動に使われていることから、太陽光が遮断されると植物は枯死します。この遮光による除草がマルチと呼ばれる方法です。

かつては稲藁がマルチ材料として一般的に使われていましたが、近年は稲藁を現場で細断、処分するコンバインが普及したために入手しづらくなり、その代替として不織布で作られた防草シートが使われるようになっています。防草シートは主に道路で使われていますが、紫外線による劣化や継ぎ目から発生する雑草が問題になっています。