雑草を用いた重金属汚染土壌の修復技術

これまで非汚染土壌を客土する方法や汚染物質を化学的に除去する方法が重金属汚染土壌の修復に用いられていましたが、近年、ファイトレメディエーション(phytoremediation)と呼ばれる植物を活用した修復技術が注目されるようになりました。

重金属は分解できないことから、ファイトレメディエーションでは、土壌中の重金属を植物の根に吸わせるか、あるいは植物の根圏に固定させるかのいずれかになります。

一方、重金属汚染地では、単に過剰の重金属が蓄積しているだけではありません。土壌の排水性が悪かったり土壌が貧栄養であったり、場合によって日当たりの悪い所もあります。

このことから表1に示すように、ファイトレメディエーション植物には重金属に耐性を示すことはもちろんのこと、汚染地の気象条件や土壌条件下でも旺盛に生育することが求められます。また、病害虫に強いことや在来植物であることも維持管理や地域生態系を保全する観点から求められます。

写真を拡大 [表1] 雑草を用いたファイトレメディエーションの長所と短所

これらの要求を満たす植物がどこに生育しているかといえば、それは汚染地あるいは汚染地周辺ということになります。したがって汚染地の雑草植生を詳しく調べることにより、ファイトレメディエーションの候補植物を容易に見つけ出すことは可能です。

しかし、たとえ有望な雑草が見つかったとしても、大量の雑草種子や栄養繁殖器官をどうやって低コストで安定的に供給するかという問題が生じてきます。しかしこの問題は候補植物が生育している表土を利用することで解決できます。

候補植物は汚染地以外の場所にも生育しており、そこの表土にたくさんの種子や塊茎が含まれているからです。