第1章 オーバー30歳(over thirty)のクライシス

②オーバー30歳の可能性

ふつうの幸せ

20代で結婚して、子どもがふたりいて、できれば専業主婦、いいえ少しは自分も外に出て働きたいかな。そして、ゆくゆくはマイホームを手に入れたい。それがふつうの結婚のかたちだと言ったら、「ふつう、ってなに?」と質問が返ってきそうです。

男は仕事、女は子どもを産み育て家庭を守る、両親世代かそれ以前の明確な男女の生き方は、すでにどこかに行ってしまいました。今では結婚のかたちはもちろんのこと、人生のかたちに、「ふつう」はありません。

結婚に関して次のようなデータがあります。総務省の調査によると、50歳まで未婚だった人、所謂、生涯未婚率は、30年前の1985年においては、男性3.9%、女性4.3%だったのに対して、2015年は男性23.4%、女性14.1%となり、年を追うごとに高くなる傾向にあります。今や男性の4人に1人は生涯独身でいることになります。

生涯独身でいることのメリットも、デメリットも受け入れて、男女ともに結婚を選択するのかしないのかは、本人次第ということでしょうか。それだけに、「おひとりさま」に対する社会的理解も進んできているように感じます。

また、女性の社会進出は進み、結婚するかしないか、子どもを産み育てるか否かなど多様な生き方が認められており、選択肢が多すぎて、なにが本当の幸せなのかが見えにくくなっているのかも知れません。さらに追い打ちをかけるように、人生には勝ち組負け組という言葉があります。

勝ち組とは、ハイスペック彼氏と結婚して幸せな家庭を築くこと、仕事で成功することなどですが、その意味では、私は負け組です。人生の多様性重視とか言っておきながら本当は建前に過ぎないのです。

さて、これまで散々働く意味を考えましょう、新しいことにチャレンジできるチャンスですと、前向きなことばかりお話ししてきました。オーバー30の皆さんのなかには、そうは言われても、もう疲れたよ、今の仕事に疲れを感じているし、特に将来、これといって目標も夢もない、とつぶやいている方がいらっしゃるのではないでしょうか。

長い人生ですから、ちょっと疲れたなと思うこともあるでしょう。私も、人生どうでもいい、と本気で思ったことのあるひとりですから、分かります。そんなときは、人生を半分諦めて生きてみませんか。

諸富祥彦さんの本のタイトルをお借りしてみました。ほっとします。ふつうの幸せが何かも分からず、ふつうの幸せくらいは手に入れたいと悩み始めるのもオーバー30世代でしょう。いろいろな選択肢がある、そのこと自体は幸せなことです。

ちょっと疲れたなと思ったらひと休みして、少し違う方向に人生の舵を切りたいと思えたとき、あなたの人生を描いて欲しいと思います。今は、堂々と自分流を貫いてもよい社会です。

※本記事は、2020年3月刊行の書籍『Over Thirty クライシス』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。