第3章 ストレスは、たぶんあなた自身が作り出している

① 30歳にとってのストレスの正体​

事例1.)大学生活リスタート、始まりは味覚障害

愛する会社にも、大好きな仕事にも、「さようなら」した私は、とにかくすべてをなげうって二度目の大学生活を送り始めました。講義室では、どうサバを読んだところで、私は学生だとは思われません。なにか珍しい人種が混ざっているのに気づくと、ありがたいことに30代の私に声をかけてくれる学生もいました。

一回りは歳の違う現役学生と、久しぶりに一緒に受ける講義は新鮮でした。ところが私を待っていたのは、高校並みの時間割でした。心理学を学んだことのない私が3年次に編入学したこともあり、スケジュールは1限から5限までビッシリ詰まっていました。

休憩時間は、慣れない校内で、次の講義の教室を探して移動するだけで、バタバタです。お昼休みもゆっくり取れません。当然、英語の予習や、レポートの課題、ゼミ発表などの準備もあります。

講義が終わってからは図書館に缶詰です。学生生活は、ビジネスパーソン時代よりも、思っていた以上にハードでした。それでも、一旦社会人になった後、再び学生になるという経験は悪くはないものだと、忙しいながらも自分では楽しんでキャンパスライフを送っていました。

そんなある日、食事中のことでした。何を食べても、食べ物の味がまったくわからなくなってしまいました。甘いのか、辛いのか。例えば、カレーの味は辛い、とイメージできるのですが、みごとに味覚は何も感じません。大変な病気だといけないと思って慌ててクリニックに駆け込んだのですが、先生には、あっさりと「ストレスでしょう。そのうち治りますよ」と言われてしまいました。

私は、忙しい学生生活を楽しんでいるつもりでした。ところが現実には、急激な生活スタイルの変化によるストレスは、日々積もり積もって味覚障害というかたちで現れました。ストレスが心の許容量を超えているか否かは、自分ではなかなか気づけないものだということを、またしても学ぶことになります。

※本記事は、2020年3月刊行の書籍『Over Thirty クライシス』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。