歌劇 『雪女の恋』

❖登場人物

雪女 こゆき

姉 ふぶき

里人 弥助

山の神

第七場

弥助は「事」を察知して、舞台中央奥へ駆け込むが、すぐさま飛び出してくる。

弥助: こゆきが いない! こゆき! ああ……

音楽「雪女と里人の相聞歌(そうもんか)」。

雪女の衣裳に変わったこゆきが、舞台中央奥の「上舞台」に姿を現す。

こゆき: (呼びかけるように)弥助……
弥助: ああ こゆきの 声……
こゆき: 弥助は 命を懸けて 命を懸けて お山へ来てくれた
弥助: こゆきは 命を懸けて 命を懸けて 人里へ来てくれた
こゆき: 嫁になれて 幸せだった
弥助: 嫁にできて 幸せだった
おまえと 畑(はた)を打つ 田を耕す
こゆき: おまえと 芝を刈る 薪(まき)を割る
弥助: おまえが 火を起こす 飯を炊く
こゆき: おまえが 飯を頬張る 鍋をつつく
弥助・こゆき: ああ 愛しの……
弥助: お前を 抱く
こゆき: お前に 抱かれる
弥助・こゆき: 二人 いっしょに生きて 幸せだった
ふたりのいとし子を……
こゆき: お願い 幸せに
弥助: この手で 幸せに
こゆき: お願い 必ず 
弥助: 必ず
弥助こゆき: 幸せに
こゆき: 弥助は 命を懸けて お山へ来てくれた
弥助: こゆきは 命を懸けて 人里へ来てくれた
こゆき: 嫁になれて 幸せだった
弥助: 嫁にできて 幸せだった こゆき……
こゆき: 弥助……
弥助・こゆき: ああ 愛しの……
弥助: お前を 抱く
こゆき: お前に 抱かれる
弥助・こゆき: いっしょに生きて 幸せだった
ふたりのいとし子……
こゆき: お願い 幸せに
弥助: この手で 幸せに
こゆき: お願い 必ず
弥助: 必ず
弥助・こゆき: 幸せに
弥助: こゆき
こゆき: 弥助
弥助: こゆき
こゆき: 弥助
弥助・こゆき: さようなら さようなら

舞台溶暗。

第八場

音楽「人里に舞う雪 山奥にふぶく雪」。

〈合唱〉が浮かぶ。

合唱: 雪やこんこん 雪こんこん
山の里には ゆきがふる ゆきがふる
童(わらべ)が遊ぶ 雪こんこん
童が遊ぶ 雪こんこん雪や凍れ、霰(あられ)や凍れ、
お山の川も とまれや凍れ
凍れ 凍れ 凍れ
雪やしんしん 雪しんしん
山の奥では ゆきつもる
獣(けもの)も眠る 雪しんしん
草木も眠る 雪しんしん
山の奥では ゆきつもる
山の奥では 風がふく
しゅうしゅう 吹きすさぶ

舞台溶暗。

完。

【引用参考文献】「日本昔話通観」同朋舎出版「わらべうた」岩波文庫

「日本伝承童謡集成・第二巻」三省堂

※本記事は、2019年8月刊行の書籍『雪女とオフィーリア、そしてクローディアス』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。