【関連記事】「出て行け=行かないで」では、数式が成立しない。

なつかしい写真

何度見てもおなじだが、また写真を手にとって、眼を皿のようにして凝視する。

あ、自分がいる。清躬くんも。スリーショットだから当たり前だけど。

小学生の時、自分は充分大きかったけど、それでもおとなの和華子さんに対して子供の自分は小さいとおもっていた。おとなより小さいのは当たり前だから。

でも、この写真で見ると、和華子さんと顔の位置がそんなにおおきくはかわらない。和華子さんはとてもスタイルがよくて脚が長かったから、座高はかなり低かったとしても、意外だった。自分も痩せっぽちだが、和華子さんも尋常でなく細いし、顔が小さいので、顔だちの美しさの圧倒的な違いを除くと、少し年上のおねえさんくらいの違いしかないようだった。顔だちはくらべようもない。唯、和華子さんが眼をつむってくれているおかげで、まだ自分の顔がおんなの子の顔として見られるように感じた。

「この写真はどなたが撮られたんですか?」

また言葉を失っている橘子に、紀理子さんが問いかけてきた。