無能な上司の下にはいたくないなどと陰口をたたかれる有り様です。実際の現場では、売上や利益などの「成果の管理」によって、こうした問題をある程度回避することが多いようです。

「新分野の顧客を開拓する」ことで、売上が伸びれば、そのことを評価するという具合です。

さて、冒頭に挙げた2つの仕事の類型のうち、定型的作業ではない業務に対して、P・Fドラッカーは、イノベーションとマーケティングと定義し、2つを合わせて「顧客の創造」と名付けました。

「成果の管理」の目的は、もちろん経営指標としての当期利益の獲得が直接の目的ですが、「顧客の創造」へのモティベーションを担当者に内面化し、長期的な成長への原動力を生み出すことにも貢献します。

さて、コロナ禍によるステイ・ホームの流れは、総務、人事、財務などの「本社」機能の重要性を改めてクローズアップしました。

ライン部門の売上を上げる「プロフィット・センター」、現場を支援するスタッフ部門を「コスト・センター」と呼ぶことがありますが、「プロフィット・センター」がカネを稼ぎ、「コスト・センター」はそれを使うだけ、というフレームワークの偏りが是正される良い機会となりました。

「プロフィット・センター」であるライン部門は戦術的に(短期的、個別の局面で)利益を上げ、「コスト・センター」と呼ばれるスタッフ部門にはライン部門を支援しつつ戦略的に(長期的、全体的視野で)利益を上げ続けられる環境を作るという役割があり、この2つの働きで「利益」を上げ続けることができるのです。

この2つは役割が違うため、求められる能力も異なるのですが、バブル崩壊後の「リストラ」で、このスタッフ部門の削減を推し進めた会社が多くありました。

今日、明日に差し迫った命をつなぐために、10年後はとりあえず置いておくという考え方ですが、「頭脳」の棄損による企業統治の弱体化と戦略立案能力の低下という後遺症は未だに尾を引いているのではないでしょうか。

※本記事は、2020年10月刊行の書籍『intelligence3.0』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。